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マリと子犬の物語――動物に学ぶ愛の試み

2008/01/01

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

 マリと子犬の物語は、医療系メーリングリストの愛犬家ドクターたちの井戸端会議で耳にしていたので、ロードショーの前から関心を持っていました。いわく「ハンカチを持って見に行かないと大変だ」ということでしたが、案の定この連休のシネマコンプレックスで涙腺を緩めてしまい往生しました。

 「マリと子犬の物語」は、2004年10月23日午後5時56分に起こった震度6強の新潟県中越大震災のさなかに、山古志村(現長岡市山古志)で実際に起こった実話をもとに描かれベストセラーとなった絵本「山古志村のマリと三匹の子犬」(文芸春秋)を映画化した作品です。

 映画の原作となった絵本は、長岡市内のNPO法人「ながおか生活情報交流ねっと」理事長の桑原眞二氏が、飼い主の五十嵐さんから聞き取ったマリと震災発生の当日に生まれた子犬たちの物語を書きつづったものです。その実話とは次のような内容です。

 山古志村の五十嵐さんの飼い犬マリは、中越地震のまさにその日に3匹の子犬を産みました。飼い主一家のおじいさんは要介護の身で、2階にいて逃げ遅れ、タンスの下敷きになってしまいました。マリは、つないであった鎖を自らふりほどいて、自分の子どもを安全な場所に運んだ後に、地震によってほとんど全壊状態になった家に飛び込んでタンスの下から出られなかったおじいさんを救おうとしました。

 マリの「クーン、クーン」と励ます声に、おじいさんはタンスの下から何とか自力で脱出することができましたが、甚大な被害や余震のせいで、やがて全村避難という事態となってしまいます。

 おじいさんは何とか、命の恩人ともいえるマリを連れて行きたかったのですが、望みはかなわず、マリは飼い主が残してくれた食料や倒壊した家屋の下に埋もれた食べ物を頼りに、生まれたばかりの3匹の子犬を抱えて被災現場に残りました。

 マリは、このような日々を18日間も続けた後、ヘリコプターで山古志村に戻った飼い主に救出されますが、このときマリはやせ衰え、おじいさんの息子の豊さんでさえ、はじめはとてもマリだと分からないほどだったといいます。土を掘り堀り食べ物を見つけ、他の動物からの略奪を逃れるべく隠すという生活で、保護されたときのマリの鼻は真っ黒だったとのことです。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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