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北大産婦人科医局の法人化――全国的な嚆矢となるか?

2007/12/25

 このところ北大の産婦人科が、医局を有限責任中間法人に移行させ、来年1月に正式にスタートさせるというニュースが新聞紙上に流れています。

 大学病院の医局というのは、各診療科が医師を束ねている組織のことをいいますが、法的には法人格はない存在です。一種、鵺(ぬえ)のようなこの存在を、故・中川米造阪大教授は、「素顔の医者」(講談社現代新書)の中で次のように描写しています。新臨床研修制度が導入されまで、医局という存在は、まさにここに描かれた世界でありましたので、若干長くなりますが引用してみます。

 このごろはかなり変則的になりつつあるが、つい先ごろまで日本の医者は、卒業後はほとんどが大学に残って研修をするのが一般的であった。正確には大学というよりは、大学医局に入るというべきであろう。この医局というのが、直接関係者でもはっきりした定義はないし、もちろん法規や規則にある組織ではないが、慣行としてどこの大学病院にも、また一般病院にもあって、中にはそう看板がでているところもある。

 それは医者の集まる場所と思われているが、政治に関して永田町というような使い方と同じく、実は人の組織をも表している。それもはっきり定義されないまま、それに連なる医者の行動原理となっている。いわば一つの文化であり、運命共同体的な組織であるといってもよい。

 あまり合理的でないので、やくざ組織に似ていると感じられるのか、医局にはいることを「わらじを脱ぐ」などと皮肉っぽくいわれることもある。単位としては、講座あるいは教室であるが、いったん入ると、生涯いろいろの義務や権利的なつながりができるという意味でも、結社的な組織である。その内容は医者の生涯をのべる中であきらかになるであろう。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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