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おらが病院のリフォームの時期に――佐久総合病院院長の住民向けプレゼンを読む

2007/12/07

 11月28日の朝日新聞長野版で知ったニュースです。農村医療で全国に知られ、信州東部の基幹病院の役割も担うJA長野厚生連佐久総合病院(長野県佐久市)の夏川周介院長が21日夜、地元住民向けに、地域の医療を守るため老朽化し手狭になった施設2つに分け、現在地と佐久市役所近くに建て直す「再構築計画」への理解を求めました。夏川院長は、病院が置かれている状況を「危機的」とし、「このままでは病院はもたない」と訴えたそうです。

 同病院には昨年亡くなった若月俊一名誉総長が長年にわたって培ってきた農村医療、地域医療の現場に身を置こうと、全国から研修医が集まります。在籍する200人を超える医師のうち後期研修医と呼ばれる医師が70人ほどいて、これら若い研修医が佐久病院を支えています。

 しかし、最近は研修後も残る医師が減り、今年3月には研修を終えた14人のうち10人が病院を去ったとのこと。病院側はその理由に老朽化のうえ手狭になった施設を挙げています。

 旧臼田町の中心部にある同病院の主要施設は築約40年で、開院当時約400人だった職員は現在約1800人と、非常に窮屈な状態になっており、患者に十分な医療が提供できにくくなっており、それとともに十分な専門研修ができないといった研修医の不満も高まっているといいます。夏川院長は「将来展望がないと研修医は先細る。そうなると病院はもたない」などと参加者に説明したとのことです。
 
 しかし、このような状態にありながら、2002年に掲げた再構築計画は難航しており、2年前、高度医療や救急医療に特化した「基幹医療センター」の用地約4万坪を市役所近くに確保した段階で市側が反対し、暗礁に乗り上げています。

 三浦大助市長は、用地が工業専用地域であることなどから、建設の前提となる用途変更をする考えがないことを表明しており、病院側が住民への説明を行った翌日の記者会見でも、「医療の適正配置という考えから(再構築は)臼田の方でやってもらいたい。こっちに移転ということになると臼田から猛烈な反対が起き、佐久を二分する問題になる」と述べたとのことです。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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