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マッチングから読む時流

2007/11/02

 わが身近な医学生最終学年さんたち、卒業試験のビーコン(再試験)、トリコン(再々試験)や臨床研修先とのマッチングも終わり、後は国家試験を突破すれば若きヒポクラテスたちの誕生、もうすぐ巣立ちという雰囲気です。今回は彼らに気持ちを重ねてこれからの流れを読んでみたいと思います。

 まず、新聞報道などによると、医師臨床研修マッチング協議会が発表した2007年度研修医マッチングの結果は、研修先で大学病院を選んだ割合は49.1%で、06年度から0.3ポイント上回ったとのことです。04年度からの医師臨床研修制度の導入で大学病院離れが話題となっていましたが、06年度に続き大学病院の割合が上昇しつつあるといってよいでしょう。

 知り合いの医師数人に意見を聞いてみると、「古い医局講座制的なものは崩壊したが、やはり寄らば大樹の陰という流れが復活したのではないだろうか」「市中の臨床研修病院も大学以上に教育スタッフの負担が大で、やはりマンパワーのあるところという志向が出ているのではないか」「たとえスーパーローテートといっても、後期研修を見据えて大学病院のように次のメニューのショーウインドウがある程度十分にそろっているところがいいと学生が考えるようになってきたからではないか」「いや医療崩壊で、2年の臨床研修期間でも中心的な科で人がいなくなるなんてリスク考えれば、やはり市中病院より大学ということになるのではないか」――。意見はいろいろとあり、過渡期の現象となれば、どれもがそんなものか、いやそうでもないか、という百家斉放のご意見です。

 そんな中、この「日経メディカル オンライン」でも話題となっている医者カップル(予備軍)の選択肢も気になります。とあるカップルは、彼は東京、彼女はその近くの関東圏と中距離恋愛を前提にマッチング病院を選択したようですし、また別のカップルは、北の大地から南の島までひとっ飛びというチャレンジをしたようです。

 スーパーローテートならば、上記のように大学病院だ、非大学病院だというのはあまり関係なく、プライマリケアや医師としてのミニマムリクワイアメントを身につけるのが基本的な要請です。まずは気持ちよく職業生活をスタートできる環境を選ぶ、うまくマッチングできればしめたものではないでしょうか。

 もちろん、マッチングというからには、医学生の皆さんが志望臨床研修病院にラブレターを出したら必ずしも思いがかなうとは限りません。医師臨床研修マッチング協議会のサイトで、アルゴリズム図解のメニューを選ぶと、病院群と研修医志望者群がどんな「お見合い」をして、どんな風に「ご成婚」「残念でした」になるかが図示されていて、シンプルなようなで複雑なマッチング手法が分かるようになっています。私もマッチングがどんなシステムで行われるのか、このサイトで指示通りのシミュレーションをしてみました。「なるほど、こうしてマッチングされるのか!」と一度やってみると感じがよく分かります。

 同じ、あるいは近くの臨床研修病院を志願して、同居あるいは近距離恋愛・結婚をいかに確保するか考えるのも、若い二人には楽しい作業かもしれません。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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