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医学生地域枠は成功するか――当地北海道の取り組みを読む

2007/10/05

 当地北海道は、広大な面積に対して人口密度の低い地域ですので、札幌などの都市部ではそれなりに医師数は充足されていますが、地方に行けば医師不足が厳しい現状です。とりわけ地方の公立病院の医師不足が目立ち、道が9月28日の道議会予算特別委員会で報告した、道内114の市町村立病院と公的病院を対象に行った実態調査の結果によると、半数近い54病院が「緊急に医師確保が必要」と答え、医師の不足数は計152人に上っています。

 そこで緊急対策として考えられているのが、札幌医大や旭川医大の入試における地域枠の拡大です。この6月には次のようなニュースが流れました。以下は、日本経済新聞社の地域経済ニュースからの引用です。

 道や道内3医大でつくる北海道医療対策協議会が6月12日、道内の自治体病院などでの勤務を条件にした「地域枠」の原案をまとめ、札幌医科大学と旭川医科大学が早ければ来春の入学生から5人ずつ募集する。地域枠の学生には奨学金を支払い、原資は道と市町村で折半する。卒業後に地方病院に出向く若手医師を増やし、過疎地の医師不足に対応する。

 道医対協の「地域医療を担う医師養成検討分科会」(座長・北良治奈井江町長)でまとめた。北海道大学は「総合大学として調整が難しい」と判断し、地域枠の設定を見送る。旭川医大は08年度から奨学金を支給しない独自の地域枠を設けるが、これとは別に新たに5人の枠を設ける。

 試算では学生1人に貸す奨学金は6年間で約1430万円。原資を折半する道と市町村の負担は、地域枠導入から6年目以降に単年度で計約1億4000万円となる。

 地域枠の対象は道内高校卒業者。同枠の医大生には卒業後、2年間の初期研修を含めた9年間、地域医療での従事を義務付ける。派遣先は道医対協が調整する。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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