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がん登録は手探りで進む

2007/08/10

 7月22日の日本経済新聞は、「治療データ蓄積手探り」「収集後の公開・活用も低調」と「院内がん登録」がなかなかうまく進捗していない状況を報じています。日本経済新聞社が実施した「がん診療連携拠点病院アンケート」では、登録を始めて1~2年という新規参入組が半数近くを占め、データの活用や情報公開は活発とはいえない現況が浮かび上がっており、まさに院内がん登録は手探り状態のようです。

 「院内がん登録」とは何かというと、医療機関が癌患者の診断、治療、予後などの情報を集めて整理することです。今年4月に「がん対策基本法」が施行され、6月には「がん対策推進基本計画」が閣議決定されていますが、その中に「がん登録」について次のような記載があります。

(現状)がん登録には、各医療機関内のがんに関するデータを把握する「院内がん登録」と、こうした院内がん登録のデータを基に各都道府県内のがんの罹患、転帰その他の状況を把握する「地域がん登録」がある。また、学会等が主体となって臓器別のがんに関するデータを収集する「臓器がん登録」がある。

「院内がん登録」については、「標準登録様式に基づく実施」を拠点病院の指定要件としている。「地域がん登録」については、「都道府県が行う地域がん登録事業に積極的に協力すること」を拠点病院の指定要件としているとともに、厚生労働省研究班において標準登録項目・標準的手順を検討し、報告書として取りまとめ、がん対策情報センターのホームページ等を通じて地方公共団体に対し周知を行っている。「院内がん登録」については、我が国においては一部の医療機関で行われているのみである。また、「地域がん登録」については、諸外国では、法律に基づき、全国で実施している国も少なくないが、我が国においては現在35道府県1市に限られており、特に罹患数については全国推計値が厚生労働省研究班により、一部地域のデータに基づき推計されているのみである。なお、健康増進法に基づく地域がん登録事業において、民間の医療機関等が都道府県へがん患者の個人情報を提供することは、個人情報の保護に関する法律等の適用除外の事例に該当すると整理されている。

(取り組むべき施策)
がん登録の実施に当たってはまず、がん患者を含めた国民の理解が必要であることから、その意義と内容について、広く周知を図る。さらに、個人情報の保護に関する取組をより一層推進するとともに、その取組を国民に広く周知し、がん登録に関する国民の更なる理解を促進していく。がん登録の実施に当たっては、医師の協力も必要であるが、その負担軽減を図りつつ、効率的に行っていくためには、がん登録の実務を担う者の育成・確保が必要であることから、こうした者に対する研修を着実に実施していく。(以下略)

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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