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病院紹介への「コンチクショー」反応

2007/07/31

 ある医療系出版社が発行しているメールマガジンを定期購読しています。その編集後記に記者のぼやきというか、医療批判を見つけました。その記者いわく、先月生まれた子供の排便が少ないのである診療所に連れて行ったところ、「大病院紹介します」との対応を受けたとのことです。「すわ大病か」とびっくりしたものの、念のためにと別の診療所を受診してみると、単に「ミルクの与え過ぎ」と診断されて、「体重過多だから、授乳回数を減らすように」とのアドバイスを受け一件落着したそうです。しかし、親の気持ちとしてはハッピーエンドではなく、「地域医療連携の重要性が叫ばれるが、無責任に病院を紹介するだけの対応は、連携ではなくたらい回しである」とすっかりおかんむりの様子でした。

 雑誌編集の仕事が忙しいところに、子供の心配がエスカレートして黙っていられなかったというのがこの編集後記の有り体の所でしょう。ナイーブかつ大忙しの現代人の感覚としてはよく分かります。しかし、格別自分が医者の端くれだからというわけだからではありませんが、最初に診た開業医の気持ちもよく分かります。

 一般的に生後1カ月を過ぎると便の回数が減ってきます。便が2~3日出ないと心配になりこの記者のように小児科受診となる親も少なくありませんが、小児科医はこの記者のお子さんが診断されたように「体重が順調に増え、飲みもよく、機嫌がよければ問題ないでしょう」との結論になることが多いようです。それでも中には「ヒルシュスプルング病」のように、便秘が主たる症状で手術の必要な病気もあります。腸の神経節細胞を欠くこの病気は、症状のはっきりした症例では、生後1週間たっても全く排便をしない、あるいは排便が困難で母乳やミルクを吐く、腹部が段々膨隆してくる、嘔吐も激しくなってくるなど強い症状を示しますが、中には小児期まで発見されないこともあります。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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