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食肉偽装から「医療偽装」を想像すると…

2007/07/10

 6月下旬、北海道加ト吉が製造した「COOP牛肉コロッケ」から豚肉が検出されたことが報道されました。近所の生協から商品が撤去されているなあと眺めていると、原料を納入しているミートホープ社が豚肉を混入させていたことが発覚し、この食肉偽装は、単に牛肉の中に豚肉を混ぜただけでなく、色の悪い肉に血液を混ぜて変色を図ったこと、期限切れの商品のラベルも偽装して出荷したこと、 腐りかけの肉を細切れにして少しずつ混入したこと、 鳥インフルエンザが流行した際に値段が下落した輸入鴨肉を大量に購入して混入したこと、パンや水をミンチに混入して増量を図ったこと、 偽造当初は大量の化学調味料を挽肉に混ぜ、後に豚肉・鶏肉などを混入したこと、輸入肉を国産肉と偽って出荷したこと、冷凍肉の解凍に雨水を使用したことなど、食品衛生法や不正競争防止法どころか刑法の詐欺罪にあたるといってもよいほどの偽装のオンパレードが明らかになりました。

 このような食品偽装は、どうもミートホープ社だけのことだけでなく、「程度はここまでひどくはなくとも、この業界内で初耳というほどのことはない」とテレビのニュースでインサイダーが語るのを聞くと、われわれの胃袋もずいぶん強いものだと皮肉な感慨もわいてきたりします。このところ中国からの輸入品から危険物が検出され、その安全性が危惧される報道もずいぶんされていますが、輸入品も国産品も信用ならないならば、何を信じようかというのが一般の市民の感覚でしょう。

 ところで、今回は食品偽装のニュースから、医療にも偽装はあり得るか、あるとすればどの程度だろうかというところを考えてみます。

 このようなテーマを掲げると、医療者からは「われわれは患者のことを思って誠心誠意やっているのに何を罰当たりな議論をするのだ」とお叱りを受け、逆に医療に批判的な市民からは「医療者に甘い認識ですね」と同じ穴の狢(むじな)視されかねず、書き手にとっても「危険」この上ない部分があり、しかも偽装なるものは発覚していないからこそ偽装であって、どんな根拠やデータがあってそんな憶測をするのかといわれてしまうと反論もできません。ただ、こんな時代ですから、サンドバック覚悟でトライしてみることにします。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

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