9月27日、五行歌歌人の伊藤赤人氏が永眠されました。氏は1944年、16歳のときに病の宣告を受け、国立療養所全生園に入所されました。こうしてハンセン氏病患者として一生のほとんどをここに生きた氏の思いは、五行で表すことのみが規律である五行歌という自由詩を表現方法に選んだところにも表れているように、自由への渇望、望郷の思いでありました。
枇杷(びわ)の実がたわわに実っていたという海辺のムラへの望郷の思いは、氏の叫びのような作品に強く強く表現されています。今回は、氏の五行歌の数々をご紹介して、スーザン・ソンタグ女史のいう「メタファー(隠喩)としての病」「病と人権」について考えてみたいと思います。
何時までも
夕陽の海を
見ていた
病を
知った日