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目指せプロフェッサー! Vol. 11
世界最高峰の肝胆膵外科フェローシップを目指す

2008/04/22

 2007年4月。僕はこのままバージニア州立大学(VCU)で3年間のフェローシップを全うすべきか、それとも2年で切り上げるべきか迷っていました。腫瘍外科フェローシップの認定学会である米国腫瘍外科学会(Society of Surgical Oncology:SSO)の規定では最低2年間修了していれば問題なく、現に1学年上の先輩は2年のみで素晴らしい職へ進むのを見て、当初の計画に疑問が生じてきていました。

 そこで、これを機会に「医者として自分は、本当は何がやりたいのか」を自分に深く問い直してみました。自分に遠い目標としての夢はたくさんあれど、具体的に、外科医として自分がやりたいことは何なのか。自分が新潟で医者としてスタートをきった研修医のころ、そのころから今に至るまでで、何に一番興味を持ち、エキサイトし、そして熱中したのか。

 そう突き詰めていくと、それは消化器外科、特に肝胆膵外科だと再確認しました。僕にとって肝臓はいくら勉強しても不可思議な奥の深い臓器で、大学院とソーク研究所で研究したのも肝再生でした。一方で、アメリカで臨床をはじめて以来、僕の肝切除執刀数は少なく、当初の情熱を忘れかけていました。

 それは日本と異なり、アメリカでは肝炎が少ないために肝細胞癌は極めて少なく、転移性肝癌も切除適応症例が少ないからです。要するに、肝切除の症例数そのものが大変少ないのです。VCUでは生体肝移植は年に片手を超えることはありませんし、脳死全肝移植の方が肝切除総数を何倍も上回ります。

著者プロフィール

高部和明(米バージニア州立大学腫瘍外科クリニカルフェロー)●たかべ かずあき氏。1992年新潟大卒。米ソーク研究所に研究留学し学位取得。UCSD外科レジデンシープログラム修了後、06年から現職

連載の紹介

高部和明の「アメリカで外科医」
腫瘍外科クリニカルフェローとして臨床・研究に従事する高部氏が、米国の医療現場で「今」起こっていることを現地報告。米国で臨床医として生き残るために格闘する生の姿をお伝えします。

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