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医師になるって大変… それでも医師を目指す意味

2015/03/23

 私の勤めるクリニックの院長には、今年大学受験だった娘さんがいるのですが、残念ながら志望校(全て医学部)に不合格だったそうです。娘さんは一浪目の受験でした。私たちの世代は、そろそろ子どもが受験を迎えるという人が多く、受験にまつわる噂話をよく耳にします。「〇〇先生の娘さんは、現役で〇〇大学の医学部に主席で合格した」「△△先生の息子さんは東大に合格した」と聞くと、へぇ~と感心します。私は子どもがおりませんので、最近の受験事情には疎いのですが、こういう話題のときに最後にみんなが言うのは「私たちの時代と違って、最近は医学部に入るのは難しいんだよね」ということです。

 私たちが受験を迎えた30年近く前と比べると現在の18歳人口は明らかに少なくなっています。しかし大学への進学率が増えたこと、さらにいえば医学部志望者が増えたということで、近年医学部の難易度が上がっているのでしょうか。

 今受験期を迎えている子どもたちは、生まれたときから一度も景気のいい時期の日本を知らないのでしょう。受験を勝ち抜いて一流大学を出ても就職は困難であり、またやっとの思いで就職した会社からはリストラの憂き目にあうという親の世代を目の当たりにしています。若い人たちが希望を持って働くのが難しい時代になったことは本当に残念に思います。

私が医師を目指したワケ
 私が高校生だった頃は、企業で女性の総合職採用が始まった時期です。しかし、まだまだ女性が定年まで働き続けるのは難しいなぁ…と高校生の私は感じていました。ですから自分が大学受験を迎えたとき、国家ライセンスが取れる学部(医学部・薬学部)に絞って受験しました。今の若い人たちが一生食いっぱぐれないであろう医師免許が欲しくなる気持ちはよく分かります。

 話は件の院長の娘さんに戻ります。娘さんは、以前本コラムでも書きましたが(「医師になるのは「復讐」のため!?子育てって難しい」)、高校時代はうまく友達関係を築けなかったようで、ときどき手伝いに来るクリニックで「私は医者になって、お金持ちになって、私を馬鹿にしたクラスメートたちに復讐してやる」と発言し、それを聞いたスタッフをたいそう驚かせていました。

 今年は残念ながら医学部への進学は叶わなかった娘さんの考え方はとても子どもっぽく、人によっては眉をひそめてしまうかもしれません。しかし私が医学部を受験した動機も「一生続けられる仕事をしたい」というのが第一義で、「病気で苦しむ人を助けたい」といった崇高なものではありませんでした。自分を振り返って考えますと、大学に入って医学を学び、患者さんと接し、仕事を続けていくうちに、徐々に医師としての自覚が生まれてきたのではないかと思います。

著者プロフィール

さかい あい(ペンネーム)●アラフォー、独身の女性フリー眼科医。関西在住。十数年の病院勤務後、一身上の都合でフリーに転身、町の眼科クリニックに勤務。仕事は結構忙しいが、オン/オフはっきりした生活をエンジョイ中。

連載の紹介

さかいあいの「今日はどないしはったん?」
関西在住の女性フリー眼科医、さかいあい氏によるエッセイ。日々の診療や患者さんのこと、趣味や楽しみ、気になる事件など、話題てんこ盛りです。ブログタイトルは、さかい氏が診察を始めるときの決まり文句。

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