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友人の癌闘病で身につまされた医師と患者の関係

2015/02/25

 最近、私と同年代の友人や知人が癌の手術を受けただとか、治療中であるという話を耳にすることが多くなってきました。40歳代半ばともなると、社会人としてはベテランとして一番忙しい時期でしょうし、家庭人としても子どもの受験やイベント、親の介護の問題が出てくるので、自分のことよりも仕事や家族を優先することが多くなります。一方で、私もそうですが30歳代の頃と比べると、自らの体力の衰えを感じつつある年頃です。

罹病した友人に寄り添いたい
 実は私の仲の良い友人が、昨年、子宮体癌の診断を受けました。年末のある日、外出先で意識を失って倒れてしまい、救急搬送された彼女。後の精査で病気が判明しました。倒れてしまったのも、長らくの不正出血が原因でかなりの貧血状態だったためでした。

 彼女が職場の検診では以前より貧血を指摘されており、内科で鉄剤を投与されたことは私も断片的に聞いていたのですが、改めてよくよく聞いてみると、かなり以前から多量の不正出血が続いていたことを知りました。数年前に近くの婦人科を受診した際に子宮筋腫と言われたことがあり、それ以後、婦人科は精神的に敷居が高くて行かずにいたということです。私自身もっと早く彼女の不調に気づき、友人として医者として何かアドバイスができなかったかと、とても後悔しています。

 今後、何か少しでも彼女の役に立てることはないだろうかと考えたのですが、眼科医の私の婦人科の知識はすっかり錆び付いています。そこで学生時代の婦人科の友人に子宮体癌について色々と教えてもらい、ネットでも調べてみることにしました。とは言ってももちろん私が治療するわけではありません。今後治療で彼女が直面するかもしれない身体的・精神的な問題を私も少しでも理解して共有したいという思いからでした。

「闘病ブログ」から感じた患者側の辛さと医師側の気持ち
 ネットで検索してみると、世の中にはたくさんの「闘病ブログ」というものがあることを知りました。ブログの中では実際に病気になったたくさんの人たちが、自分の身体の自覚症状や精神状態、治療内容の詳細やその負担額、主治医や看護師との実際に交わした会話、彼らに対する思いを赤裸々に綴っていました。ブログにご自分の記録を残そうとする方たちはとても意識が高く、ご自分の腫瘍マーカーや血液検査の値、CT画像を載せていることも珍しくありません。それらを読みながら、私はその詳細な記録に驚き、一医療従事者として考えさせられることがたくさんありました。

 その中で、とても印象に残った文章があります。子宮癌と診断され(かなりシビアな状態のようでした)精神的に追い詰められた患者さんが、あちこちの病院へセカンド、サードオピニオンを求めて出かけて行ったそうです。回数を重ねるごとに不機嫌になっていく主治医に頼み込んで紹介状を書いてもらうストレス、電話でなんとか初診の予約を取り付け遠くの病院まで出掛けたのに、「あちこち受診している暇があるなら、早く治療を開始したほうがいいんじゃないですか?」と医者からけんもほろろな対応をされる辛さ…。どんなに心細かっただろうと、読むうちに胸がつぶれるような思いになりました。

 しかし正直なところ、私は彼女に関わった医者たちの気持ちもよく理解できました。最近は、患者さんからセカンドオピニオンを求められて嫌な顔をする医者はほとんどいないと思います。しかし忙しい中、何度も何度も紹介状を書いてほしいと言われると、主治医が「一体この人はどうしたいんだろう?」という気持ちになってくるのも仕方ないでしょう。また紹介される側のドクターが、これまでの経過の中で、その人がいわゆる「ドクターショッピング」をする患者さんだと知ると、「難しいキャラクターの人だろうか?」と身構えてしまう気持ちも分かるような気がします。

著者プロフィール

さかい あい(ペンネーム)●アラフォー、独身の女性フリー眼科医。関西在住。十数年の病院勤務後、一身上の都合でフリーに転身、町の眼科クリニックに勤務。仕事は結構忙しいが、オン/オフはっきりした生活をエンジョイ中。

連載の紹介

さかいあいの「今日はどないしはったん?」
関西在住の女性フリー眼科医、さかいあい氏によるエッセイ。日々の診療や患者さんのこと、趣味や楽しみ、気になる事件など、話題てんこ盛りです。ブログタイトルは、さかい氏が診察を始めるときの決まり文句。

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