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「替え玉受診!?」色覚異常検査に潜むワナ

2014/11/18

 いよいよ受験シーズンが到来しました。眼科には、学校受験や就職試験のために検診を受けにくる学生さんたちがよくやってきます。宝塚にある病院でバイトしていたときは、宝塚音楽学校を受験するお嬢さんたちがときどきいらっしゃったので、「この中から未来のスターが出てくるかもしれないなぁ~」なんて楽しい気持ちになったものです。ある種の職業では、眼科検診時に視力だけではなく色覚検査が必要な場合があります。主なものとしては、警察、消防、自衛隊、航空、船舶などです。色を判別することが人命に関わるような仕事は必要とされるようです。

色覚異常は就職試験で初めて知ることに?
 眼科開業医で行う色覚検査は、石原式色覚検査表でスクリーニングを行い、パネルD-15での色覚異常の程度判定――という流れが多いようです。教科書的には色覚異常の確定診断や程度認定には「アノマロスコープ」を使うこととなっています。しかし、いくつかの公立病院で勤務してきた私ですが、大学病院以外ではこの機械を見たことがありません。検査に習熟した人でないと、正確な結果が出ないためだと思われます。2003年には、小学校で全児童に行っていた色覚検査が任意となりました。そのため、最近は自分に色覚異常があることを知らないまま受験を迎える学生もおり、就職試験の時に初めて色覚異常を指摘される…というケースも起きています。

 先日、私の勤めるクリニックに警察官志望の20代男性がやって来ました。彼は初診の患者さんで、受験に必要な視力と色覚検査をしてほしいという旨を問診票に記入していました。その後、受付でカバンをゴソゴソし、「提出するための健康診断書を持ってくるのを忘れました。今日は検査だけ受けるので、後日結果を記入してほしい」との申し出がありました。学校の定期検診で視力低下を指摘された子どもさんが来院し、「学校からの検診の紙を持ってくるのを忘れました。後日書いて下さい」ということもよくありますので、検診表の持参を忘れることはそんなに珍しいことではなく、了承しました。検査の結果、視力・色覚検査に異常はありませんでした。

 その方が診察室を出た後、若いスタッフが「今の方、とても素敵ですね!」とちょっと盛り上がっていました。確かにハキハキした好青年で、私も「ああいう人が警察官になってくれるといいわねぇ」と応じました。「ちょっと茶髪だったのが気になります」とは古参のスタッフの弁です。「就職試験の時までには、黒く染め直すんじゃないの~」――。スタッフ達とそんな会話をしたのを覚えています。

著者プロフィール

さかい あい(ペンネーム)●アラフォー、独身の女性フリー眼科医。関西在住。十数年の病院勤務後、一身上の都合でフリーに転身、町の眼科クリニックに勤務。仕事は結構忙しいが、オン/オフはっきりした生活をエンジョイ中。

連載の紹介

さかいあいの「今日はどないしはったん?」
関西在住の女性フリー眼科医、さかいあい氏によるエッセイ。日々の診療や患者さんのこと、趣味や楽しみ、気になる事件など、話題てんこ盛りです。ブログタイトルは、さかい氏が診察を始めるときの決まり文句。

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