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医師になるのは「復讐」のため!?子育てって難しい

2014/06/16

 先日、甥の小学校の運動会に行ってきました。最近は、残暑の厳しい秋だと熱中症の心配があるためか、5~6月に運動会を開催する学校が多いようです。妹家族は私の家のすぐ近くに住んでおり、甥の通う公立小学校は私と妹の母校でもあります。写真が趣味の私は、毎年甥の運動会にカメラを持って行き、写真を撮るのを楽しみにしています。普段は恥ずかしがって写真に収まりたがらない5年生の甥の成長を感じながら、シャッターを押すのはとても楽しいものです。独身で子どもがいない私ですが、近所に住む甥がいることで、子育ての疑似体験ができたことは、とても有り難いことだと思っています。

 甥を見ていてつくづく分かったことは、子どもは親(大人)の思う通りには育たないものだなぁということです。「あんなにダラダラして…。もっと真面目にラジオ体操したらいいのに」「友達とふざけて、校長先生のお話をちゃんと聞いてないし…」と、運動会を端で見ているだけでも、ハラハラしてため息が出ます。子どもをお持ちの親御さんはいつもそのような気持ちでいらっしゃるのでしょうか?

 先日、一緒に働く同年代のスタッフ数人と食事に行ったときのこと、子育てについていくつか考えさせられる話が出てきました。

トイレで失敗した患者さんにAちゃんがかけた言葉
 「Aちゃんは本当に素晴らしい子だと思うわ。親御さんはどうやってあんなに素直ないい子にAちゃんを育てたのかしら?」――。Aちゃんというのは一緒に働く20代前半のスタッフのことです。まだ人生経験は少ない彼女ですが、仕事への真面目な取り組み方といい、患者さんへの優しい対応といい、とても好感度の高い女性です。

「先日、ご高齢の男性の患者さんをお呼びしてもなかなかトイレから出てこないので、Aちゃんが様子を見に行ってくれたんです。するとその患者さんがお手洗いでどうも失敗していらしたみたいで」
「あぁ、そういうことがあったのね」
「患者さんのズボンも下着も汚れてしまったし、トイレの中もかなりひどく汚れてしまって。まだ若いAちゃんが患者さんの着替えの手配も、トイレのお掃除も全部してくれてね。オロオロしている患者さんに声をかけているのを聞いたんです。あの状況で私なら、せいぜい『気にしないでくださいね』とか『大丈夫ですよ』とかそれくらいしか言えなかったと思う」
「Aちゃんはなんて?」
『こちらが大変お待せしてしまったので、このようなことになってしまい、本当に申し訳ありませんでした』って一生懸命謝っているの。あの日、院長の診察日で予約の患者さんでも2時間以上待っていたから…。本当にAちゃんはいい子だなぁって思ったわ」

 とっさにこういう言葉が出てくるAちゃんは、お家でのご両親の育て方が本当に素晴らしかったんだろうなぁと思います。そしてずいぶん年下のAちゃんの優しさに気付いて感動しているそのスタッフも、人の良い所をどんどん発見していくことができる素晴らしい方で、私も見習わなくてはと思いました。

著者プロフィール

さかい あい(ペンネーム)●アラフォー、独身の女性フリー眼科医。関西在住。十数年の病院勤務後、一身上の都合でフリーに転身、町の眼科クリニックに勤務。仕事は結構忙しいが、オン/オフはっきりした生活をエンジョイ中。

連載の紹介

さかいあいの「今日はどないしはったん?」
関西在住の女性フリー眼科医、さかいあい氏によるエッセイ。日々の診療や患者さんのこと、趣味や楽しみ、気になる事件など、話題てんこ盛りです。ブログタイトルは、さかい氏が診察を始めるときの決まり文句。

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