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大切なのは知名度よりも「他人の評価」なのかも

2014/05/26

 先日、大学で開催された勉強会に参加してきました。若い先生方が症例のプレゼンテーションを行い、その後にエラい先生方のレクチャーを受けるという形式でした。その時、若い先生は全員がWindows、エラい先生方はMacのパソコンを使っていることに気づきました。これも時代の流れだなぁ…とちょっとしみじみとしてしまいました。そういう私自身、以前はMacを使っていましたが、近年はずっとwindowsマシンです。

20年前の発表スライド作成は戦いだった
 私のような世代の人間にとって、発表の直前であってもいくらでもレイアウトの変更ができる「パワーポイント」はまさに神ソフトです。20年も前の昔々の話で恐縮ですが、私が研修医の頃、スライドを作るのは一苦労でした。スライドを作ることが出来るソフトはMacにしかありません。ですから昔は「医者のパソコン=Mac」というのが常識でした。またそのパソコン本体は何十万円もするとても高価なもので、大きさも小型のブラウン管テレビほどもありました。貧乏研修医だった私は個人でパソコンを所有することができませんでしたので、いざスライドを作ろうと思うと、大学の医局に2台置いているパソコンを使わねばなりませんでした。

 当時は上司の先生方、関連病院の先生方もみなさん大学医局のパソコンを使ってスライドづくりをしていました。そのため、大きな学会前ともなると、常に医局のパソコンは誰かが使っているという状態でした。私のような下っ端は、誰もいなくなる夜中や明け方を狙って医局に行ったものです。慣れない入力作業を行い、かなり時間をかけてスライド原稿を作ったあとは、パソコンに接続しているカメラにフィルムを入れて、その原稿を1枚ずつ撮影していきます。撮り終わったらフィルムを取り出してカメラ屋さんに現像に出し、やっとスライドが完成するという流れです。昔はスライドをつくるという作業はとても手間ひまがかかるものだったのです。

 こうして苦労して作ったスライドですが、直前に上司から「データを入れ替えろ」と指示をされたり、誤植を見つけたりすると、もう一度やり直し。カメラ屋さんの開いている時間と現像にかかる時間を睨みながら、最後は学会に出発する時間との戦いになってきます。とある先生はどうしてもスライドが出来上がる時間が新幹線の最終に間に合わず、タクシーを使って関西から東京の学会まで行ったという話を聞いたことがあります。紛失すると大変なので、飛行機に乗るときはスライドをカウンターで預けることはなく、必ず手荷物として自分自身で機内に持ち込み、肌身離さず持ち歩きました。

 こんな話はもう昔話になってしまいましたが、今はMacでもWindowsでも神ソフトである「パワポ」が使えますから、お医者さんは特にパソコンの機種は問わなくなったということなのでしょう。しかしエラい先生方はこのように昔から使っていたMacユーザーが多いようです。そんな話を友人にしたところ、「最近は地方会だと持ち込みパソコンは最初からWindowsのみ、っていうところもあるんだけど、Macを持ってきて『なんでMacじゃダメなんだ!』って会場で文句を言ってる年配の先生を時々見かけるよ~」と言っていました。

著者プロフィール

さかい あい(ペンネーム)●アラフォー、独身の女性フリー眼科医。関西在住。十数年の病院勤務後、一身上の都合でフリーに転身、町の眼科クリニックに勤務。仕事は結構忙しいが、オン/オフはっきりした生活をエンジョイ中。

連載の紹介

さかいあいの「今日はどないしはったん?」
関西在住の女性フリー眼科医、さかいあい氏によるエッセイ。日々の診療や患者さんのこと、趣味や楽しみ、気になる事件など、話題てんこ盛りです。ブログタイトルは、さかい氏が診察を始めるときの決まり文句。

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