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外来“道”はまだまだ深い その2
どうせ「サボっている」と思われるなら

2012/10/23

前回の続きです。話は少しさかのぼるのですが、勤務医時代、私がいつも感心していたことがありました。それは、クラークさんたちの患者さまに対する対応の素晴らしさです。彼女たちは人材派遣会社で研修を受けてきていました。クラークは病院にやってきた患者さまに一番最初に接する「病院や科の顔」であり、患者さまのクレームの矢面に立つ仕事でもあります。

「診察いつまで待たせるねん!」「○○先生は何言ってるかさっぱり分からん」「採血のときに何回も針を刺されて痛かった!」等々、患者さまからのクレームのほとんどはまずクラークに向けられます(もちろん彼女たちには責任はありません)。時にはにこやかに、時には申し訳なさそうに頭を下げる彼女たちの患者さまへの対応は、いつも素晴らしいものでした。彼女たちのおかげで、クレームの大部分は大事に至ることなく食い止められていました。

その姿をよく外来で見ていた私は「エライもんやねぇ」と感動すら覚えました。「私らそういうことはイヤっていうほど教えられてるんで」と彼女たちは謙遜します。接客の教育を受けた彼女たちの対応はまさに「プロフェッショナル」でした。

その反面、私たち医者はどうでしょうか?最近は大学でロールプレイング形式の臨床講義が採り入れられ、医学生たちも患者さまへの対応を学ぶ機会があると聞きます。しかし私たちの学生時代は、そんなものはありませんでした。学校では病気のことしか教えられませんでしたし、研修医として働きだしてからは、先輩の外来を見ることで、患者さまへのムンテラの方法を覚えていきました。患者さまにはこういう風に接しましょう、ということは、誰からも教えてもらったことがありません。

診療所勤務になって6年。前回も書きましたが、私は、最大の患者サービスは「待たせないこと」だと思って仕事をしてきました。自分を必要以上に卑下するつもりはないのですが、大学病院のエラーイ先生ならともかく、私ごときの外来で何時間も患者さまをお待たせするのはいかがなものだろう…と思いますし、高齢の患者さまの多い眼科ですから、待合室のソファーで何時間も座らせておくわけにはいかない、という気持ちもあります。

著者プロフィール

さかい あい(ペンネーム)●アラフォー、独身の女性フリー眼科医。関西在住。十数年の病院勤務後、一身上の都合でフリーに転身、町の眼科クリニックに勤務。仕事は結構忙しいが、オン/オフはっきりした生活をエンジョイ中。

連載の紹介

さかいあいの「今日はどないしはったん?」
関西在住の女性フリー眼科医、さかいあい氏によるエッセイ。日々の診療や患者さんのこと、趣味や楽しみ、気になる事件など、話題てんこ盛りです。ブログタイトルは、さかい氏が診察を始めるときの決まり文句。

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