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外来“道”はまだまだ深い その1
「3分診療」って本当に悪いの?

2012/10/16

自慢ではありませんが、私の外来は速いほうです。午前診で平均80人の患者さまを診るのですが、9時に開始して12時半頃には終わるようにしています。1診(診察室が一つ)体制のクリニックとしては外来患者数は多いほうではないでしょうか。

早い要因には、紙カルテであること(眼科のカルテは図がほとんどで、勤務医時代にはペン入力やマウスなど色々試してみたのですが、やはりパソコンより手描きが速いのです)、病院と違って比較的安定した患者さまが多いこと、また、眼科なので受診前に患者さまが洋服を脱いだりする必要がなく、すぐに診察できることなどもあるでしょう。しかし私自身は、勤務医時代、いかに効率よく外来診療を行うかを先輩から徹底的に鍛えられた経験が、今に生きているのではないかと思っています。

医師4年目の時、私はのんびりした田舎の市民病院から、都会の公立病院へ転勤しました。公立病院での外来の初日に先輩から言われたのが「さかい先生!外来遅すぎ!」という一言でした。前にいた田舎の市民病院では、眼科医は部長と私の2人だけ。部長はのんびりした性格で、患者さまと家族の話や天候の話など、ひとしきり世間話をしてから診察が始まるので、外来が終わるのがとても遅かったのです。若輩の私も、それほどではないにしろ、決して外来のペースが早いとは言えませんでした。その公立病院は、近隣の開業医の先生方からの紹介が集まるため患者数が多く、私はなかなか時間内に外来を終わらせることができませんでした。

初めに先輩から命じられたことは、外来の前日には、予約患者のカルテ全部に目を通せということでした。今までの治療や経過を把握し、問題点を見つけ、今後どのように治療していくのかを前もって考えるのです。それだけでなく、カルテも、書けるところはすべて前もって書いておくように言われました。眼科の場合、カルテには文字よりも絵を書き込むことが多いため、前眼部や眼底の図は前もって書いておき、外来の当日は所見だけ書き込めば完成するように準備することにしました。この「下準備」のおかげで、ずいぶんと外来の時間を短縮できました。

今も、外来のときは患者さまを呼び込む時間を利用して、検査結果に目を通し、お決まりの図などもカルテに書いておきます。些細な努力ではありますが、外来を少しでも早く終わらせたいという気持ちからです。

著者プロフィール

さかい あい(ペンネーム)●アラフォー、独身の女性フリー眼科医。関西在住。十数年の病院勤務後、一身上の都合でフリーに転身、町の眼科クリニックに勤務。仕事は結構忙しいが、オン/オフはっきりした生活をエンジョイ中。

連載の紹介

さかいあいの「今日はどないしはったん?」
関西在住の女性フリー眼科医、さかいあい氏によるエッセイ。日々の診療や患者さんのこと、趣味や楽しみ、気になる事件など、話題てんこ盛りです。ブログタイトルは、さかい氏が診察を始めるときの決まり文句。

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