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「先生のためなら家庭を捨てても…」って言われても

2011/10/31

「手術って言われちゃったんだけど…」

幼なじみから突然電話がかかってきました。お腹の張りが気になって病院を受診したところ、子宮内膜症と診断され手術を勧められたというのです。

私は、専門外ながら子宮内膜症は身をもって体験しており、5年前には腹腔鏡下手術も受けています。そこで、どういう病気で、どんな治療をするのか、といったことをかいつまんで説明したところ、どうやら納得したようです。

「あいちゃん、どなたかオススメの先生いないかしら?」
と言われ、私も執刀していただいたS先生を紹介することにしました。
S先生は、私の学生時代に、スキー部の顧問をされていて、ざっくばらんな性格が学生に人気の先生でした。今は大学から離れ、市中病院で婦人科部長をされているのですが、腹腔鏡下手術の腕には定評があります。

その数日後、早速彼女はS先生のもとを訪れ、手術の予定も決めてきました。それを電話で報告してくれたときのことです。

「ところでさぁ。あいちゃんにこんなこと尋ねるのもどうかと思うんだけど・・・。先生へのお礼ってどうしたらいいのかなぁ」

「あー。そういうことは心配しなくていいよ。」

「そういうもんなの?」

「うん。大丈夫。S先生には私からもよくお願いしておくから」

手術で身体を預けることになる患者さまには、「少しでも良くしてもらいたい」という一心から、医師にお礼を、と考える方がまだまだ多いようです。ただでさえ、精神的・肉体的な負担が大きいときに、このようなことにまで頭を悩まさねばならないのは、本当に大変なことです。

しかし、そのような心配は無用なのです。私の知る限り、ほとんどの医師はただ眼の前にある手術にベストを尽くすだけなのですから。

著者プロフィール

さかい あい(ペンネーム)●アラフォー、独身の女性フリー眼科医。関西在住。十数年の病院勤務後、一身上の都合でフリーに転身、町の眼科クリニックに勤務。仕事は結構忙しいが、オン/オフはっきりした生活をエンジョイ中。

連載の紹介

さかいあいの「今日はどないしはったん?」
関西在住の女性フリー眼科医、さかいあい氏によるエッセイ。日々の診療や患者さんのこと、趣味や楽しみ、気になる事件など、話題てんこ盛りです。ブログタイトルは、さかい氏が診察を始めるときの決まり文句。

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