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米国で過熱する新型コロナワクチン争奪戦

2021/03/29
緒方さやか

 「ワクチン接種後も、たとえ自身が発症しなくても、自身を介して人に新型コロナウイルスを感染させる可能性はある。マスクをして、今までと変わらない生活をするように」──。米国政府の新型コロナウイルス対策をリードするファウチ医師は、ワクチンの接種が一般市民に拡大された後、このように警告した。

 なぜこのような警告が出されたのかは明らかだ。新型コロナウイルスもそのワクチンもまだ登場したばかりで、ワクチン接種後にウイルスの感染力がどうなるのかに関しては、まだ十分な研究結果が出ていないのだ。また、mRNAワクチンという多くの人にとって耳慣れないワクチンに対して、心理的抵抗感を示す人々は少なくない。さらに、接種後の人だけがパンデミック前の生活に戻れる、マスクもしなくていいなどということになれば、各地で混乱が起きるのは目に見えている。

 本来であれば今は、一気に接種率を上げ、変異株が広がる前に国民一丸となってウイルスを封じ込めなくてはならない時期だろう。しかし、「接種後も旅行できない、友達と会えない、レストランで食事もできない」とも取れるメッセージは、「ワクチン=意味がない」と一部の人々を誤解させることになった。

 とはいえ、全米を見回せばワクチンの人気は非常に高く、当初は需要に対して供給が全く追いついていない状態だ。バイデン氏が大統領に就任した1月後半以降、一気にワクチンの製造が加速したとはいえ、いまだに数は足りないらしく、普通の生活を取り戻したいと願う「ワクチンハンター」たちの競争は激しい。

著者プロフィール

緒方さやか(婦人科・成人科NP)●おがた さやか氏。親の転勤で米国東海岸で育つ。2006年米国イェール大学看護大学院婦人科・成人科ナースプラクティショナー学科卒。現在、カリフォルニア州にある病院の内分泌科で糖尿病の外来診察を行っている。

連載の紹介

緒方さやかの「米国NPの診察日記」
日本でも、ナースプラクティショナー(NP)導入に関する議論が始まった。NPとは何か?その仕事内容は?米国で現役NPとして働く緒方氏が、日常診療のエピソードなどを交えながら、NPの本当の姿を紹介します。

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