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糖尿病なら忘れてはいけない災害対策6カ条

2019/11/12
緒方さやか

 最近、カリフォルニア州で山火事が相次いでいる。まさに、地球温暖化の影響を目に見える形で経験しているわけだ。昨年85人の死者を出した、同州北部の街パラダイスでの火事の原因は、電気会社PG&Eの機械のメンテナンス不足による発火だった。

 今年10月もひどい火事続きの月だった。日照りと干ばつで大地が乾ききっている上、昨年の火事と同様、古い電線や機械が未だに修理されていないため、各地で火事が発生する危険性がある。

 10月末には、強風が予想されたため、「火事の予防」というだけの理由で、PG&E社は大規模な地域で4~5日の停電措置を取り、94万戸が影響を受けたようだ(外部リンク)。当然、医療機器を利用している患者さんたちのいる病院や家庭も停電した。私が働いている病院も自家発電機に切り替わり、学校もお店も休業した。

 住民たちの怒りは収まっていないが、この停電処置がなかったら、さらなる悲劇が起こっていた可能性はある。というのも、停電処置の前からカリフォルニア州の各地で、既に大規模な火災が多発していたからだ。TIME誌は、火災のアップデートを継続的に報道している(外部リンク)。

 私のいる地域の周辺では、サンフランシスコから約1時間半北上したところにあるソノマで非常に大規模な山火事が発生し、約3万ヘクタールを焼いた。この記事を書いている10月末現在、45%が鎮火されたということで、消防士の方々には感謝の気持ちでいっぱいである。今回の火事で避難勧告が出された住民には、去年の火事で焼け出されて、新たに建てたばかりの新居に住む人々も含まれている。奇跡的に死人が1人も出なかったのは、昨年の教訓を人々が心に焼き付けていたからと、数々の幸運が重なったためだと言われている(外部リンク)。

 実は先月、「糖尿病患者の旅行と災害への備え方」というトピックで講演する機会があった。しかし、実際に今回の停電を乗り切った患者さんたちの様子を振り返ると、私の話した内容では足りなかったのではないかと悔やんでいる。そこで、数カ月後に同じタイトルでより役に立つ講演をするべく、いま準備している最中だ。

 災害準備という意味では、日本に住む人たちの方がよほど慣れているだろうと思う。それでも、お互いに学べることはあるはずなので、特に糖尿病患者さんの災害対策として私が「これを知っておきたかった」と思うことの中で、日本の防災関連のウェブサイトなどで一般的に強調されていない内容を(釈迦に説法かもしれないが)この場を借りて紹介したい。なお、私の講演を聞いてくれたのは、インスリンポンプとリアルタイムCGM(持続血糖測定)のDexcom G6やFreeStyleリブレなどを使用している、インスリン依存型の1型糖尿病の患者さんたちがほとんどだった。

著者プロフィール

緒方さやか(婦人科・成人科NP)●おがた さやか氏。親の転勤で米国東海岸で育つ。2006年米国イェール大学看護大学院婦人科・成人科ナースプラクティショナー学科卒。現在、カリフォルニア州にあるカイザー病院の内分泌科で糖尿病の外来診察を行っている。

連載の紹介

緒方さやかの「米国NPの診察日記」
日本でも、ナースプラクティショナー(NP)導入に関する議論が始まった。NPとは何か?その仕事内容は?米国で現役NPとして働く緒方氏が、日常診療のエピソードなどを交えながら、NPの本当の姿を紹介します。

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