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「私を見下している」と患者に言われたら

2018/10/30
緒方さやか

 最近、落ち込むことがあった。こうして公に語るのも気が重いが、誰かにとって学びがあればと思い、書くことにする。

 1型糖尿病の患者さんを診た後に、その患者さんが「見下されているような感じがした」と、私の上司である医師に報告したのだ。

 確かにその患者さんは、40年間以上も1型糖尿病と共に生きてきていて、糖尿病に関しては私よりもある意味プロである。彼女はいわゆるBrittle Diabetes※1で、あまりに頻繁に低血糖に陥るせいで体が慣れてしまっていて、めまいや空腹などの警告症状が起こらない。低血糖になっても気が付かず、意識を失って搬送されたこともあった。

※1 血糖値の上下が激しい糖尿病のこと。インスリン抵抗が少なく、少量のインスリン投与やわずかな運動でもすぐに低血糖に陥り、逆に炭水化物を少し口にしただけで血糖値が跳ね上がる。そのため、摂取する炭水化物のグラム計算を少しでも間違えると、血糖値が上下してしまう。

 そんな彼女が、ある日、診察中におもむろに測定器を取り出した。血糖値を測ってみると、なんと33。「うん、やっぱり。今、話している時にちょっとクラクラしたんだよね」と笑う彼女だったが、私の方は青ざめた。

著者プロフィール

緒方さやか(婦人科・成人科NP)●おがた さやか氏。親の転勤で米国東海岸で育つ。2006年米国イェール大学看護大学院婦人科・成人科ナースプラクティショナー学科卒。現在、カリフォルニア州にあるカイザー病院の内分泌科で糖尿病の外来診察を行っている。

連載の紹介

緒方さやかの「米国NPの診察日記」
日本でも、ナースプラクティショナー(NP)導入に関する議論が始まった。NPとは何か?その仕事内容は?米国で現役NPとして働く緒方氏が、日常診療のエピソードなどを交えながら、NPの本当の姿を紹介します。

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