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「家に銃があるか」を聞く米国の健康診断

2018/07/09
緒方さやか

 数カ月前、新しい家に引っ越した。静かな住宅街の小じんまりとした家で、以前は、50歳代の女性が1人で住んでいたという。彼女が植えたというバラが、小さな前庭で咲いている。

 この女性は既に州外に引っ越しているのだが、時折、家のポストに彼女宛てのカタログが送られてくる。中でもひときわ目立つのが、銃弾のカタログだ。その表紙には「銃規制がカルフォルニアにやってくる! その前に買いだめを!」という売り文句がデカデカと掲げられている。

 実際、銃規制への世論が高まると、「もうすぐ銃が買いにくくなるかもしれない」という恐怖があおられるためか、銃の売り上げがうなぎ登りに増えるという。2012年にコネチカット州で26人の小学校児童と教師たちが銃殺されたサンディーフック事件の翌月には、米国全体で記録的な銃の売り上げを記録した。このニューヨークタイムズ誌の記事の、一番上にあるグラフをぜひ見て欲しい。

 一番恐ろしいのは、「銃規制」というのは銃を禁止する法令のことでさえない、という事実だ。今の米国において、銃の使用を禁止するような法案は、決議される可能性が皆無だろう。米国における銃規制は、銃を買うときの条件を少しでも厳しくしようという動きに過ぎない。

著者プロフィール

緒方さやか(婦人科・成人科NP)●おがた さやか氏。親の転勤で米国東海岸で育つ。2006年米国イェール大学看護大学院婦人科・成人科ナースプラクティショナー学科卒。現在、カリフォルニア州にあるカイザー病院の内分泌科で糖尿病の外来診察を行っている。

連載の紹介

緒方さやかの「米国NPの診察日記」
日本でも、ナースプラクティショナー(NP)導入に関する議論が始まった。NPとは何か?その仕事内容は?米国で現役NPとして働く緒方氏が、日常診療のエピソードなどを交えながら、NPの本当の姿を紹介します。

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