1型糖尿病や、膵臓の切除によって糖尿病になった患者さんは、インスリン注射を切らすと糖尿病性ケトアシドーシスに陥る可能性があり、命に関わる。また、2型の糖尿病でも、病態の進んだ患者さんや、コントロールが悪くプライマリケア(かかりつけ)医またはNPから内分泌科へ紹介されてきた患者さんでは、1日に4~5回のインスリン注射を打っていることも多い。こういった患者さんには、インスリンポンプの着用を勧めることがある。ポンプを使用することで、より細やかな血糖値のコントロールを目指すのだ。内分泌科で働くNPや医師は、当然、様々なポンプの性能や使い方にも熟知していなければいけない。
アメリカでは1型糖尿病の多くが使用し、2型糖尿病にも使用されることもあるインスリンポンプであるが、日本での使用頻度はあまり高くないかもしれない。しかし、今後日本でも普及の進む可能性は十分にあると考えられる。今回はインスリンポンプの使い方のコツをおさらいしてみたい。
インスリンの注射をしている患者さんならば、24時間持続する基礎インスリンを1日1回打つほか、即効性のある追加インスリンを食事の度に打って、身体に必要なインスリンを補うのが普通である。一方、ポンプの場合は即効性のあるインスリンアスパルト(ノボラピッド)、インスリンリスプロ(ヒューマログ)またはインスリングルリジン(アピドラ)のみを使用し、 皮下脂肪に挿入した細いチューブを通して、随時身体に注入する。ちなみに、かなり稀なことではあるが、インスリン抵抗性が非常に高い2型糖尿病患者では、通常インスリン製剤の5倍濃度(U500)のインスリンをポンプに入れて使用することがある。
さて、このインスリンポンプ。
実際はどのような仕組みになっているのだろうか。
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著者プロフィール
緒方さやか(婦人科・成人科NP)●おがた さやか氏。親の転勤で米国東海岸で育つ。2006年米国イェール大学看護大学院婦人科・成人科ナースプラクティショナー学科卒。現在、カリフォルニア州にある病院の内分泌科で糖尿病の外来診察を行っている。

連載の紹介
緒方さやかの「米国NPの診察日記」
日本でも、ナースプラクティショナー(NP)導入に関する議論が始まった。NPとは何か?その仕事内容は?米国で現役NPとして働く緒方氏が、日常診療のエピソードなどを交えながら、NPの本当の姿を紹介します。
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