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アメリカ式、夜泣きにてきめんに効く方法とは?

2013/10/24

 私がアメリカに住んでいた小学校低学年のころ、友人宅で、まだ乳児であった友人の妹がベッドルームで延々と泣いているのに、皆が聞こえないふりをしているのに異様な印象を受けたものだ。今思えばこれこそが、“Cry it out (泣かせ尽くし)”と呼ばれるアメリカ流の寝かしつけ方法だった。

 親しい患者さんであれ、スーパーマーケットの中で声を掛けてきた他人であれ、挨拶代わりに、「どう? 赤ちゃんは(一晩中)寝てる?」と聞かれることがよくある。子供はできるだけ早く自立させた方がよいというアメリカ人の考え方に基づくのか、中流階級以上の家庭では、生まれたばかりの新生児でも、別の部屋で一人で寝かせることが多い。

 子供が一晩中続けて寝られるかどうかは大きな関心事で、多くの本が出版されている。中でも有名なのは、ボストンの小児病院で小児睡眠障害センター長を務めるファーバー医師による方法。最初に寝かしつける時も、夜中に赤ちゃんが起きた時でも、部屋で一人で泣いている赤ちゃんをすぐにあやさず、決まった時間(最初の日は3分)待ってから、 ベビーベッドの外から数十秒間、声を掛けたり触ったりして赤ちゃんをあやし、たとえ泣き続けていても、また部屋を去るというものだ。そうして少しずつ、その間隔を長くしていき、親がいなくても自分一人で寝入ることを教えていく。

 ちなみに、南米やアジアからの移民たちの間では、添い寝(cosleeping)が一般的。アメリカ人でも、ナチュラル派や母乳育児促進派の人たちの間では添い寝がはやり始めているものの、乳幼児突然死症候群SIDS)のリスクを高めるとして白い目で見られることもいまだに多い。実際、米国小児科学会は2011年に、添い寝に反対する声明を出している。だが、親たちが肥満であったりアルコールを飲んでいる場合を除き、添い寝は逆にSIDSを減らすという報告もあり、論争は続いている(Paediatr Respir Rev. 2005; 6:134-52.)。

 私自身は添い寝で育ったし、母乳育児には最適だということもあり、 私は最初から添い寝を選択した。わが家には布団も畳もないので、ベッドフレームを解体し、マットレスを直接床に置いた。最初の数カ月は、2~3時間おきに授乳するのも寄り添うだけで済み、ベッドを出てミルクを作ったりすることに比べれば、比較にならないほど楽だった。

 しかし、職場復帰後、生後4~5カ月を過ぎ、ママ友の赤ちゃんたちが継続して5時間以上の睡眠を次々と達成する中、わが家の息子は逆に、夜中に起きて私が授乳する回数がどんどん増えていった。昼間、仕事で離れていて寂しいからだろうか。はたまた、24時間営業のバイキングレストランで寝ているようなもので、眠気より食欲が勝ってしまうのだろうか。夜中に6~7回起きることが毎日続いた。

 息子は断固ミルクを拒否するので、夫に代わりも頼めず、共働きなのに夜当番は私だけ。夫婦喧嘩も増えていく中、ファーバー氏の本も読んだが、「泣いても無駄だと赤ちゃんに学ばせる」という考え方はあまりに厳格すぎると感じ、ファーバー方式を始めるのを拒否していた。おしゃぶりの使用、音楽、眠りにつかせるための合い言葉、就寝直前におかゆを与える、などの方法などを取り入れたが、夜中に頻繁に起き、授乳をしないと寝てくれない状況は変わらなかった。

著者プロフィール

緒方さやか(婦人科・成人科NP)●おがた さやか氏。親の転勤で米国東海岸で育つ。2006年米国イェール大学看護大学院婦人科・成人科ナースプラクティショナー学科卒。現在、カリフォルニア州にあるカイザー病院の内分泌科で糖尿病の外来診察を行っている。

連載の紹介

緒方さやかの「米国NPの診察日記」
日本でも、ナースプラクティショナー(NP)導入に関する議論が始まった。NPとは何か?その仕事内容は?米国で現役NPとして働く緒方氏が、日常診療のエピソードなどを交えながら、NPの本当の姿を紹介します。

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