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自分が糖尿病になって初めて分かった食事療法の難しさ

2012/12/07

 産科医から「体重増加が少ないわね、ちゃんと食べてるの?」などと心配され、いい気になって楽しく色々食べていた。吐き気は妊娠中期には解消したし、手足もむくまず、腰痛もない。多少の疲れと眠気以外は快適な妊娠生活だった。仕事は続けていて、「出産予定日の1週間前まで産休は認められない」と人事部に言われたが、「この調子なら全く大丈夫」と、自分の幸運を喜んでいたほどだ。

 それが急転したのが、妊娠24週~28週で受ける、妊娠糖尿病スクリーン検査だった。「家族に糖尿病の人もいないし、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)歴もない。絶対に大丈夫だ!」と高をくくっていたので、「陽性です」と助産師から電話連絡を受けた時は、本当にびっくりした。糖負荷試験の2時間後の数値が異常値だったという。

 赤ちゃんへの糖尿病の影響はもちろん心配ではあるが、それ以外にも懸念はある。妊娠糖尿病の場合、妊婦の血糖値と胎児の測定サイズによっては、促進剤を使って予定日より前に出産しなければいけないこともある。促進剤によって陣痛が強まるとの話を聞くこともある。当然、その場合は痛み止めの量も多くなりがちだ。「できるだけ自然に出産したい」「できれば薬なしのお産を」と思っている私にとって、これは不安なことだった。

 幸いなことに、私は成人科のNP(ナースプラクティショナー)として、食事療法の仕方や痛くない血糖値の測定の仕方などを、一通り心得ている。そんな私に対して、産科の糖尿病認定看護師は、胎盤から出るHPL(ヒト胎盤性ラクトーゲン)というホルモンの影響で、リスク要因がなくても妊娠糖尿病になることがあることを、長い時間をかけて根気よく説明してくれた。

 その上で血糖値測定器を渡されたが、「1日に7回(1日3食の前後と、就寝前)測ってくださいね」と言われて、その頻度に驚いた。さらに食事の2時間後のターゲット血糖値は120mg/dL未満、空腹時は90mg/dL未満と、私が2型糖尿病の患者さんに普段指導している数値よりも厳しい。2型糖尿病と違って、妊娠糖尿病は胎児への影響があるから真剣なのだ! 「糖尿病の影響より、自分が毎日傷だらけの指でC型肝炎など感染リスクのある患者さんの内診などをしていることの方が、赤ちゃんへのリスクという意味では不安だ」と心の中で思ったが、言っても仕方がない。その点については、バンソウコウだらけの手に手袋をして、手袋に穴がないことを祈るしかない。

著者プロフィール

緒方さやか(婦人科・成人科NP)●おがた さやか氏。親の転勤で米国東海岸で育つ。2006年米国イェール大学看護大学院婦人科・成人科ナースプラクティショナー学科卒。現在、カリフォルニア州にあるカイザー病院の内分泌科で糖尿病の外来診察を行っている。

連載の紹介

緒方さやかの「米国NPの診察日記」
日本でも、ナースプラクティショナー(NP)導入に関する議論が始まった。NPとは何か?その仕事内容は?米国で現役NPとして働く緒方氏が、日常診療のエピソードなどを交えながら、NPの本当の姿を紹介します。

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