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米国医師会による「患者との恋愛ルール」

2011/09/22

 先日、昔一緒に働いていた医師がアフリカから帰ってきたというので、久しぶりに会った。まだ30代後半だが、幼児からお年寄りまで、さらには妊婦も診る優秀な家庭医である。一緒に働いていた時は本当にいろいろ教わったものだ。ナース・プラクティショナー(NP)の大学院では学ばなかった切開排膿ができるようになったのも彼のおかげだ。「一回見て、一回やってみて、一回誰かに教えればできるようになる」という豪快なコンセプトの下、教えてもらった。

 国境のない医師団を通じてタンザニアと南スーダンで働いていた彼は、数カ月前にマンハッタンに戻ってきた。お洒落なイーストビレッジの友人のクリニックを、使用していない早朝と夜の数時間だけ借り、忙しく働く若いニューヨーカー向けに一人きりで開業しているという。予約はすべてオンライン。誰も雇わず、バイタルサインを取るところから健康保険会社との交渉まで、一人でやっている。流行りの「マイクロクリニック」というやつだ。勤め先を探さず、新しい発想で仕事をするというのは、いかにも彼らしい。

 そんな彼が、「クリニックはうまく行ってるんだけど、困ることが一つあってさ」とこぼした。お年寄りの多いクリニックで働いた時と比べて、患者さんにデートに誘われることが非常に多くなったというのだ。イーストビレッジはニューヨークでも新しい文化の発信地として知られるリベラルな街で、ゲイも多い。そのため、彼に声をかけるのは女性だけではないようだ。

 女性の場合は、診察の後でメールをしてきて、「こんなこと言ったら驚くかもしれませんけど、今度コーヒーでも飲みに行きませんか」という穏やかな誘い方が多いらしい。一方、男性は診察中に堂々とデートを申し込んでくるという。「これも男女の違いだよなー」と彼は笑っていた。ちなみに、男性の患者さんには、「彼女がいます」(実際いるのだ)と言って断り、女性の患者さんには、「そのようなことは医師免許に関わる行為であり、禁止されています」と断っているという。

著者プロフィール

緒方さやか(婦人科・成人科NP)●おがた さやか氏。親の転勤で米国東海岸で育つ。2006年米国イェール大学看護大学院婦人科・成人科ナースプラクティショナー学科卒。現在、カリフォルニア州にあるカイザー病院の内分泌科で糖尿病の外来診察を行っている。

連載の紹介

緒方さやかの「米国NPの診察日記」
日本でも、ナースプラクティショナー(NP)導入に関する議論が始まった。NPとは何か?その仕事内容は?米国で現役NPとして働く緒方氏が、日常診療のエピソードなどを交えながら、NPの本当の姿を紹介します。

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