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電子カルテに抱く「少しの不快感」の正体は?

2012/04/11
小鷹昌明

 すでに医療現場では欠かせない代物となっている電子カルテを扱う中で、最近少し気になってきたことがある。

 言うまでもないことだが、多少の使い勝手の悪さにも関わらず、電子カルテが現場で運用されているのは、デメリットよりもメリットが勝るからである。デメリットとは、パソコン操作により診察に集中できなくなったり、患者とのコミュニケーションが少なくなったりすること。メリットとは、診療情報を異なる部門で共有することで、患者の状態を連動して確認でき、検査や投薬など診療の状況がひとつのデータとしてまとめられ、各部署からのアクセスを可能にすることでスムーズかつ安全な業務が実現できることである。

 DPCやレセコンがどうこうという議論は現場ではあまり意味はないし、改善の余地を山ほど抱えていたとしても、何とか機能させているというのが現状であろう。導入時に散々議論を重ねてカスタマイズしてきたものを、不具合だけを強調されるのでは、これまでの設備投資が無駄になる。

 そういうことだから、電子カルテの需要はますます拡大し、ますますシステム化は進み、ますます煩雑になる。

 そうした流れの中で私が論じたいのは、電子カルテ内で展開される“医療者同士のコミュニケーション不良”である。弱い酸で侵食されるように、徐々に医療現場の不協和音を増やしている。

 「何を大袈裟な」と思うかもしれないが、「電子カルテを通じて“少しだけ不快な思い”をすることが、日常茶飯事になってきている」ということを、一度だけ指摘しておきたい。

「貴科でのしっかりとした対応を要望いたします」
 ある日突然、脳神経外科医から私宛てに送られた電子カルテには、四肢筋力低下を主訴に私の外来を受診し、しばらく経過を診ていた患者に関する記載があった。

 先生の外来通院中の患者です。先生の外来受診時からすでに筋力低下を認めていましたが、次回の予約までの間に症状が悪化しております。先生への初診時に、すでに運動ニューロン疾患が疑われておりましたが(→先生のカルテ記載が不十分!!)、症状の悪化とともに“かかりつけ医”より、貴科ではなく当科にconsultationがあり、精査入院していただきました。

(中略:外科的疾患を除外するための検査所見が細かく並べられている)

 すでに先生へのconsultation時に針筋電図にて運動ニューロン疾患が疑われておりますが、症状の進行が認められますので早急な対処が必要と考えます。少なくとも外科的疾患ではないようですので、貴科でのしっかりとした対応を要望いたします。

著者プロフィール

小鷹昌明(南相馬市立総合病院神経内科)●おだかまさあき氏。1993年卒後、某大学神経内科に所属し、病棟医長、医局長、准教授を歴任。一念発起して2012年4月から現職。「今、医療者は何を考え、どうすべきか」をテーマに、現場から情報発信を続ける。

連載の紹介

小鷹昌明の「医師人生・四“反省”期」
医学部入学から四半世紀になろうとしている小鷹氏。自分の医師人生を四“反省”期として振り返ります。医療・医学、社会問題・社会現象、人間関係・生き方、自らのこだわりといった4つのテーマについて、様々な角度から語ります。

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