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アバスチンの適応が進行肺癌にも広がった

2006/10/19

 米国食品医薬品局(FDA)は10月11日、米Genentech社の抗体医薬Avastin」(アバスチン、一般名:bevacizumab)を進行非小細胞肺癌(扁平上皮癌を除く)の治療薬として承認しました。大腸癌と同じく化学療法剤(carboplatinとpaclitaxel)との併用ですが、手術で摘出不可能な進行肺癌に広く適応となりました。

 臨床試験では、生存期間が化学療法剤だけの場合10.3カ月であるのに対し、化学療法剤にアバスチンを追加することで12.3カ月と、1年以上に延長することが確かめられています。

 重篤な副作用としては腸管の穿孔、創傷治癒の遅延、出血などが報告されていますが、FDAは「患者さんの選択肢が広がった」とコメントしています。また、臨床試験の責任者を務めたAlan Sandler医師は、「Avastinと化学療法の併用は、この10年間で、進行肺癌に対する標準療法を改善する初の治療法である。さらに、FDAが承認した医薬品のうち、大規模な臨床試験で、患者の生存期間を1年以上にした初めての治療法だ」と述べています。

 近年、抗体医薬の開発は急速に進んでいます。癌の分野ではハーセプチン、リツキサンで著効を示し、一躍脚光を浴びましたが、現在も多くの抗体医薬の開発が進められています。ハーセプチンはHER2(erbB2)に対する抗体医薬で、HER2は乳癌の増悪に重要な役割を果たしている癌遺伝子産物です。

著者プロフィール

中村祐輔(東大医科学研究所教授)なかむら ゆうすけ氏 阪大医学部を卒業し、大阪府立病院、市立堺病院などで外科医として勤務。臨床の現場で生まれた「なぜ正常細胞が癌化するのか?」という疑問を解くべく渡米、染色体地図作りに貢献。91年に大腸癌の癌抑制遺伝子を発見。95年より現職。

連載の紹介

中村祐輔の「Let's 個の医療」
患者の直面する問題を解くことこそ医学研究”をモットーとする中村氏が、急速に進展するオーダーメイド医療、世界に取り残されつつある日本の実情などを、気の向くままに紹介していくブログです。遺伝子診断をはじめ、臨床現場に普及し始めた「個の医療」の今をお届けします。

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