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看護師と魚市場と「FISH哲学」

2009/10/20

 皆さん、「FISH哲学」をご存じですか?

 看護師さんは知っているかもしれませんが、医師にはまだまだ馴染みが薄い言葉でしょう。そのまま訳せば「魚」の意味ですが、この「FISH」の由来は「魚市場」だそうです。では、医療現場に魚市場がどう関係するのでしょうか?

 「FISH哲学」とは、3K職場で投げやりな雰囲気のあった米国シアトルの「パイク・プレイス魚市場」の魚屋さんが職場として活気づき、お客様からも評判を得るきっかけとなった4つの心得を哲学としてまとめたものです。その内容は、以下の通りです。

(1)スタッフが仕事を楽しむ(文句や愚痴を言っても始まらない。自分で仕事の中に喜びを見つけよう。楽しいことがないなら自分で作ろう)

(2)お客様を楽しませる(随所にサービス精神、おもてなしの心を表現しよう)

(3)お客様と向き合う(忙しくとも目の前のお客様に真心をこめて応対しよう)

(4)態度を選ぶ(いやなことがあっても、振り回されないで、自分がどういう態度をとるかを決めよう)

従業員を幸せにする「魚市場」発の経営哲学
 実は、当大学の看護部は、日本での「FISH哲学」実践の先駆者です。看護部では、ある事件がきっかけで、現場の意気が下がり、 仕事に対する希望が持てないためか離職者が増えた時期がありました。危機的な状況を打開するための良い手立てを探している時に出遭ったのが「FISH哲学」だったそうです。

 話がちょっと脱線しますが、私がこのブログを書こうと思った最大の理由は、「経済活動を営む組織をどのように活性化し、国民の三大義務の一つである『労働』をいかに充実させるか」を考えてみたかったからです。私自身は、そのために最も大切なのは、上司と部下の間の良好な関係と、上司も部下も楽しく、やりがいをもって働ける職場環境にあると思っています。組織の活性化は、従業員の幸せがなくてはあり得ないということです。

 前回のブログでも書きましたが、医局員のモチベーションを上げるには、労働環境の改善はもとより、職務に対するときめき、夢、社会的意義、さらには組織における自己研鑽の機会、家族的仲間意識などが不可欠です。これらを実現するには、「FISH哲学」は非常に良いツールだと思います。

著者プロフィール

緑山草太(ペーンネーム)●みどりやま そうた氏。消化器外科医。1988年、東京の医科大学を卒業。2000年、栃木県の国立病院の外科部長。2004年に再び東京の大学病院に戻り、医局長を務める。

連載の紹介

緑山草太の「僕ら、中間管理職」
良い診療も良い経営も、成否のかぎを握るのは中間管理職。辛くとも楽しいこの職務は、組織の要。「良い結果は健全な組織から生まれる」と話す緑山氏が、健全な組織を作るための上司の心得を紹介します。

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