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村田兆治は特別なんです。

2009/07/06

 1990年代初頭にバブル経済が崩壊し、右肩上がりの成長を前提にした社会体制に変化が生じました。年功序列システムに亀裂が入ったのです。年を重ねれば、誰でもそれなりに出世できて報酬が上がる時代は終わり、仕事の出来不出来が、その後のキャリアや給料を大きく左右するようになってきました。

 時期を同じくして、医療界も、仕事の出来不出来が厳しく問われる時代に入りました。医療訴訟の増加は、その象徴といえるでしょう。それまでは、医者の言うがまま、なすがままであった患者さんが立ち上がり、満足できない治療に対して「NO!」と言い出したのです。

 これは、医局を代表とする医師の組織が、時代の変化に対応しきれなくなったことの一つの表れといえるかもしれません。医師の世界は、長らく、年功序列と封建主義が支配的でした。年長者の先生が難しい手術を行い、役職や地位も上になる―。ひょっとしたら、今も、そのような医局組織が多いのかもしれません。

 しかし、キャリアが長ければ長いほど、手術が巧く、管理能力が優れているとは言い切れません。医療界も今後は、医学および医療の勉強と修練を重ね、努力を続ける実力のある医師が、年齢にかかわらず難しい手術を担当し、多くの場面で活躍できるように変わっていく必要があると考えます。その方が患者さんは幸せであり、医師としても、やりがいが増すのではないでしょうか?

 スポーツ界は、年功序列とは正反対の実力主義社会の代表です。例えば野球選手は、歳が上だからといって、レギュラーとして試合に出られるわけではありません。また、ベテランであればあるほど給料が高いわけでもありません。もし野球界が年功序列だったら、レベルの高い白熱した試合は期待できないでしょう。

 当然、お客さんは観に来てくれませんし、チームの活性化は望めません。努力しても若いうちは試合には出られないし、給料も上がらないというのであれば、選手も努力して練習などしなくなるでしょう。従って、仕事に関しては、年齢にこだわらずに、実力重視で適材適所の人員配置をする方が望ましいと思っています。

技術がすべてではない
 年功序列のルールを外すとなると、年下の後輩が上司になるケースも出てきます。しかし、各年代において果たすべき役割は異なり、それぞれ重要であります。企業によっては、役職の任命は実力を重視しながらも、給料には年功序列の要素をある程度残し、各年代のモチベーションを保っているところもあるようです。

著者プロフィール

緑山草太(ペーンネーム)●みどりやま そうた氏。消化器外科医。1988年、東京の医科大学を卒業。2000年、栃木県の国立病院の外科部長。2004年に再び東京の大学病院に戻り、医局長を務める。

連載の紹介

緑山草太の「僕ら、中間管理職」
良い診療も良い経営も、成否のかぎを握るのは中間管理職。辛くとも楽しいこの職務は、組織の要。「良い結果は健全な組織から生まれる」と話す緑山氏が、健全な組織を作るための上司の心得を紹介します。

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