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医学教育から考える大学入試のあるべき姿

2013/12/17

 日本の医学生は、4年から5年に進級する際に、CBT(Computer Based Test)とOSCE(Objective Structured Clinical Examination)を受験することが義務付けられています。OSCEは、いわゆる問診系を中心とする「医療面接試験」に加え、軽い外科系、救急系、神経系、腹部、胸部、顔面系に関する「身体診察試験」です。これに加えて、5年修了時には、いわゆるポリクリの集大成として“アドバンストオスキー”が加わり、6年修了時の卒業試験を経て、医師国家試験を受験することになっています。医師国家試験は、現時点では学科試験のみです。

医学教育は大幅に変わりつつある
 厚生労働省の医道審議会医師分科会医師国家試験改善検討部会が取りまとめた「医師国家試験改善検討部会報告書(2011年6月9日)」には、「卒後臨床研修を開始する前にOSCEによる評価が必要であるという認識で一致した」との記述があります。

 これはどういうことかというと、医学生のコミュニケーション能力をチェックすることや、ポリクリなどの実習時間を欧米並みに引き上げることが必要であるため、数年後には医師国家試験が大幅に改定される、すなわち、医師国家試験にOSCEが取り入れられるかもしれない、という意味なのです。入学定員増が既に始まっているからこそ、質の担保を図ることが急務であるとされたわけです。

 実際、医学部のカリキュラムは大幅に改変されつつあり、医学生たちの意識も数年前とは変わりつつあります。受験生の頃は人間的にも未熟だった彼らが、合格後しばらくしてから訪ねてくると、人間的に大きく成長していることがうかがわれ、本人の努力や経験もさることながら、大学側の努力と成果もまた確かに存在することが分かります。大学を受験する18歳時点で「人間力」を問う必要がないほどに、大学側も、卒業生を受け入れる社会の側も、大学入学後、事あるごとに学生の「人間力」を涵養する機会を設けているのです。

下村文科相が掲げる「優れた大学入試」とは
 前回のブログ(「国公立大2次試験「人物本位」の選抜方法に苦言を呈す」)で私は、政府の教育再生実行会議の第四次提言を取り上げて、率直な疑問を述べました。

 文部科学相の下村博文氏は、朝日新聞(13年11月22日)で、この提言について説明しています。それによると、21世紀に必要な3つの能力を育成するため、大学入学試験を見直す必要があるとのことです。「まずリーダーシップ力。多様な価値観や人をまとめ上げて、一つの方向に持っていく。二つめは、企画力や創造力などクリエーティブな能力。そして人間的な感性や優しさ、思いやり。この三つの能力を足せばトータルな「人間力」になるでしょう」と言います。

著者プロフィール

松原好之(「進学塾ビッグバン」主宰)●まつばらよしゆき。近著に「”逆算式勉強法”なら偏差値40でも医学部に入れます」(講談社)、「9割とれるセンター試験の”逆算式勉強法”」(KADOKAWA中経出版)がある。

連載の紹介

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