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国公立大2次試験「人物本位」の選抜方法に苦言を呈す

2013/10/29

 最近の報道(毎日新聞2013年10月11日)によると、政府の教育再生実行会議(座長は早稲田大総長の鎌田薫氏)は、国公立大入試の2次試験から「1点刻みで採点する教科型ペーパー試験」を原則廃止することを検討しているのだそうです。同会議の大学入試改革の原案では、1次試験として大学入試センター試験を基にした新テストを創設し、結果は1点刻みではなく何段階かのランクで表示。そして2次試験ではペーパー試験を廃し、面接など「人物評価」を重視する方針とのこと。

 実行する大学には補助金などで財政支援するなどして、抜本的な入試改革を強く促す狙いがあるというのですが、私は、ゆとり教育の見直しが進むのはいいとしても、その反動でおかしな方向に行き始めていることを懸念します。

 そもそも、ゆとり教育とは、「学力偏重の教育体制を是正し、子どもをのびのびイキイキ育て、真の生きる力を養成する」ことを目的としたものでした。ですが、その結果生まれた「ゆとり世代」は、学力の乏しい、根気のない、いわゆる「ぬるい」若者の大量発生という状況を呈した、と揶揄されています。

 受験屋の自分の立場を擁護するわけではないですが、ゆとり教育に背を向けた私立の中高一貫校や、「ゆとり」の大量発生に歯止めをかけるビジネスで成功を収めた民間の塾、予備校のお蔭で、辛うじて日本の「知」は守られた、と言っても過言ではないと、私は思っています。それが証拠に、公立高校が、近年、重い腰を上げて、土曜の授業を再開したり、週5日制を元の6日制に戻すなどの動きを示しています。それでも「大学生なのに分数計算ができない」、「漢字がさっぱり読めない」といった珍現象が、いまだに報告されています。

 ゆとり教育がこうした結果を招いた一因は、暗記と知識を旨とする受験学力を重んじない “人物本位”の面接と、内申書だけの推薦やAO試験といった受験制度にもあると思います。“人物本位”の選抜方法がまかり通ると、それこそ有力者の子どもであるとか、選抜者の縁故の人物とかが大手を振って大学の門をくぐることになりかねず、まじめに勉強している者が馬鹿を見ることになるのは目に見えています。

著者プロフィール

松原好之(「進学塾ビッグバン」主宰)●まつばらよしゆき。近著に「”逆算式勉強法”なら偏差値40でも医学部に入れます」(講談社)、「9割とれるセンター試験の”逆算式勉強法”」(KADOKAWA中経出版)がある。

連載の紹介

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