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医系予備校は「必要悪」か?

2011/08/26

 夏休みも終わろうとしています。受験生を持つお父さん、お母さんもそろそろ焦っておられるのではないでしょうか。サボっていた受験生自身も、親の手前、平静を装っている子が多いと思われますが、実は焦りまくっています。

 ちなみにここで言う受験生とは、何も高校3年生、高卒生を指すとは限りません。中学生のうちから、「医者になる」と決めた子ども、あるいは決めさせられている子どもは皆受験生です。

 こうした受験生に、どのようにしたら効率良く夏を過ごさせることができるのか。通学している学校の勉強や宿題のスケジュールに任せているだけでいいのか…。親御さんは色々と悩むことが多いはずです。

私が医系予備校を始めたきっかけ
 私自身、医系予備校なる存在は、河合塾で英語講師として勤めて15年ほどたつまでは、その実態をまるで知りませんでした。お金持ちだが、成績が今一つの受験生の弱みに付け込み、場合によっては“裏口入学”をあっせんすることさえいとわない予備校――といった、きな臭いイメージが先行していたのも事実です。

 私が医系予備校の運営を始めたのは、あるとき、河合塾で教えた在日韓国人の受験生のお父さんから、「息子の一人をどうしても医学部に入れたい」と相談されたことがきっかけです。そのとき私は普通の塾『進学塾ビッグバン』を運営していました。塾を作った動機は、勉強ができなかった私自身の長男です。「こいつの勉強の不出来は、大手予備校に通っても駄目だろう。何とかしなきゃ」と考え、河合塾講師と並行して少人数密着型の塾を立ち上げていたのです。

 在日韓国人の受験生のお父さんはこう言いました。「松原先生、うちは在日韓国人なんで、なかなか一般就職が厳しいです。特に一部上場企業の中にはあからさまに差別するところもあります。息子がこの先、日本で裏稼業じゃない仕事に就いて生きていくには、やはり医者です。何としても、この三男を医者にしたいのです。ところがこいつは韓民族にもかかわらず、親の言うことを聞かないやつでして、『他の職業に就きたい、医者にはならん』などと言うんです。先生の評判はうちの長男から聞いています。三男に言うことを聞かせるには、この先生に頼むしかない、そう考えまして、相談に伺った次第です。先生、私は韓民族ですから単刀直入に言いますが、こいつをともかく医学部に行く気にさせて、かつ絶対受からせる方法はありませんか」

 私はすぐさまこう答えました。「私は残念ながら大和民族ですから、曖昧にしか答えられませんが、医学部に行く気にさせる方法はとりあえず、ご本人に会わせていただければ幾つか考えられるでしょう。しかし、絶対受からせる方法はありません。そこだけはご理解ください。ただ…」。

 「ただ…何ですか?」と、お父さんは身を乗り出してきました。

 「ただ、合格する可能性を限りなく高める方法が一つだけあります。それは、同レベルの子が少人数で競い合う授業をメーンにして、残りは個別指導で補うという“ぜいたく”な授業をする塾に入れることです。講師陣が優れ者で、生徒にはある程度のアタマと単調さに耐える勤勉さが備わっていて、塾の方針によく従って勉強をすれば、国公立は何とも言えませんが、私立医学部ならば、合格する可能性は限りなく100%に近くなると思います」。

著者プロフィール

松原好之(「進学塾ビッグバン」主宰)●まつばらよしゆき。近著に「”逆算式勉強法”なら偏差値40でも医学部に入れます」(講談社)、「9割とれるセンター試験の”逆算式勉強法”」(KADOKAWA中経出版)がある。

連載の紹介

松原好之の「子どもを医学部に入れよう!」
すばる文学賞受賞作家、大手予備校のカリスマ英語教師、そして医系予備校「進学塾ビッグバン」の主宰者である松原好之氏が、医学部受験の最新ノウハウや、中高生・予備校生の子どもとの付き合い方などを指南します。
本連載の著者、松原好之氏の
『親子で目指す医学部合格 受験のプロが教える難関突破最新ノウハウ』
好評発売中

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 東京医大事件、医学部入試新規範、学費大幅値下げ、偏差値上昇……。大変革期に入った医学部入試の現状と今後の方向性を、医系予備校「進学塾ビッグバン」で、数々の “落ちこぼれ” を難関大医学部に合格させてきた松原氏が鋭く解説しています。最新の受験テクニックは私立医大と国公立大に分けて詳説。また、医師という職業のキャリアパスについても、最新データを基に解説しています。子どもを医学部に入れたい父母、医学部受験を目指す中高生。浪人生、高校の進路指導担当者必携の1冊です。
(松原好之著、日経メディカル開発、1800円+税)

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