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入試直前、受験生に伝授する“必殺技”

2011/02/02

 1月18日の読売新聞に面白い記事が載っていました。通信社の配信記事らしく、他紙でも報道された模様です。

 米シカゴ大学の研究チームが、大学生87人を対象に2グループに分け、数学テストを2回に分けて実施。2回目のテストの直前10分間、テストへの気持ちを作文に書くように指示されたグループは、1回目より成績が向上したそうです。中でも「怖い」「間違えそうだ」など不安な気持ちを書いた人の向上が目立ったとのこと。一方、静かに着席してテストを待ったり、試験と無関係な日常の出来事を書いたりするように指示されたグループは、1回目より成績が下がりました。さらに、高校の最上級生106人を対象に同様の実験を行ったところ、ほぼ同じ結果だったといいます(出典は米科学誌『サイエンス』に発表された論文とのことです)。

 受験の専門家としてその理由を考えてみましたが、(1)本音を試験前に吐き出すことで頭の中がすっきりし、ひたすら試験に向かうことができた、(2)無理やり本音を隠そうとするとかえって心に負担がかかり、問題に向かう姿勢にバイアスが生じてしまった―といったところなのでしょう。

 人間はもともと弱いもので、エエカッコシイとかクールを装うなんていうのは、実は自分の心の弱さを隠す行為で、そのために逆に無駄なエネルギーを使ってしまうのかもしれません。私の経験からしても、偏差値で5~10ぐらいの数字は、その場の精神状態で平気で変動します。良くも悪くも「番狂わせ」なんてものはしょっちゅうあるものです。

 本番直前の受験生にとって最も心強いのは、長期にわたって親身に面倒を見てくれた恩師の一言です。なので、親は、直接子どもに伝えたい言葉があったとしても、恩師にあたる先生に頼んで、その先生の口から言ってもらう方がいいかもしれません。子どもにしてみると、親の言葉は様々な意味で重すぎて、先ほどのシカゴ大学のデータではありませんが、子どもにとっては無用なプレッシャーになりかねません。

 親がひたすら子どもを思うほど、子どもは親に対してストレートな感情を抱いているわけではありませんし、親の愛情ある接し方でさえ、子どもにとっては、時に邪魔もの以外の何物でもない時があるのです。

試験会場に持ち込むべき「自家製ノート」
 日本の大学入試の本質は、高いレベルでの「暗記量」であり、それで勝負が決まります。良い悪いは別として、直前まで暗記を中心とした受験勉強を続けるのが、昔から今日に至る日本の受験勉強の変わらざる有り様だということを銘記すべきです。例えば「英語運用能力」といわれるものが、米国では主に「ディベート能力」、日本では「リスニング能力」を指すという点にも、日本の受験の特徴が表れています。

 日本の大学入試と他国との比較は別の機会に譲るとして、まずは日本の間近に迫っている大学入試です。私は、目の前に受験を控えた日本の受験生たちをいかに「合格」させてあげるかに関しては、正攻法の方法を、いわゆる現実的に「合格」する手順の王道を、次のような形で説いて勧めています。

 まず、暗記した事柄を“引き出し”から的確に取り出すために、その「“引き出し”を取り出しやすく整理整頓しておきなさい」と言います。

 具体的には、理科は、前もって自家製ノート(自家製ノートというところが肝心です)に、項目を「出る順」に体系だてて並べて、直前ギリギリまでそれの暗記に努める。英語は、日ごろ馴染んでいた「英単語集」の中で、どうしても覚えられなかった語だけを自家製ノートにピックアップしておき、それを直前まで目で追い、綴りをなぞり続ける。あるいは、英語長文を記しておいたノートを試験会場に持ち込み、試験開始ギリギリまで読んで頭の中を「英文モード」にしておく。数学は、計算問題を用意して会場に持参し、直前まで解いて「数感」を刺激する。

著者プロフィール

松原好之(「進学塾ビッグバン」主宰)●まつばらよしゆき。近著に「”逆算式勉強法”なら偏差値40でも医学部に入れます」(講談社)、「9割とれるセンター試験の”逆算式勉強法”」(KADOKAWA中経出版)がある。

連載の紹介

松原好之の「子どもを医学部に入れよう!」
すばる文学賞受賞作家、大手予備校のカリスマ英語教師、そして医系予備校「進学塾ビッグバン」の主宰者である松原好之氏が、医学部受験の最新ノウハウや、中高生・予備校生の子どもとの付き合い方などを指南します。
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