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禁煙補助薬で「節煙」から始めてみたら…

2009/04/16

 現在保険適用されている禁煙補助薬を使った治療は、ある日を境に完全な禁煙を強いるものであり、その有効性は確立されている。

 しかし、OTC薬として販売されている禁煙補助薬は、利用者の誤解も手伝って、きちんと禁煙と同時に使用する(使用できている)人は少ないのではないかと想像する。

 今回紹介するのは、ある日を境にスッパリと禁煙するのではなく、禁煙補助薬を使って徐々に喫煙回数を減らし、最終的に禁煙を目指すというニコチン補充療法の有効性をシステマティック・レビューで検討した報告だ。

Effectiveness and safety of nicotine replacement therapy assisted reduction to stop smoking: systematic review and meta-analysis
BMJ 2009;338:b1024, doi: 10.1136/bmj.b1024 (Published 2 April 2009)

 はじめに、前文から、この研究の背景を紹介した部分を引用する。

 喫煙は、病気にかかったり、寿命を短くする原因の一つであり、このことは先進国でも発展途上国でも変わりはない。そして禁煙することで、それらの害を減らすことができる。だが英国では、喫煙者の半数が毎年禁煙を試みているが、成功率は2~3%にすぎない。
 
 禁煙成功率の低さの一因は、多くの禁煙の試みが計画的でなく、有効な禁煙支援がなされていないことにある。最も広く用いられ標準的な禁煙支援は、ニコチン補充療法であるが、この治療の標準的な説明書や、NICE(the National Institute for Health and Clinical Excellence)のガイダンスでは、ニコチン補充療法などを始めたその日から、完全に禁煙させる方法を推奨している。

 しかし、喫煙者の70%は、いつかはタバコをやめようとは思っているものの、次の月にやめようと思っている喫煙者は12%にすぎない。つまり「いきなり禁煙させる」という方法が適した対象者は極めて少ない。

 英国では、ニコチン補充療法に使用する薬剤として、ガム、吸入、トローチが発売されており、急にタバコをやめられない(やめたくない)人が喫煙機会を減らしたり、禁煙の促進のために長期間使用することが許されている。禁煙補助薬を、このように使用することは、「nicotine assisted reduction to stop」「cut down then stop」「cut down to stop」「cut down to quit」と呼ばれている。

著者プロフィール

牧瀬洋一(牧瀬内科クリニック院長)●まきせ よういち氏。1984年鹿児島大卒後、同大第一内科入局。大隅鹿屋病院などを経て、95年牧瀬内科クリニック(鹿児島県大崎町)開業。98年に有床診化(19床)。

連載の紹介

牧瀬洋一の「内科開業医のお勉強日記」
内科開業医として、呼吸器を中心に地域の患者を幅広く診察している牧瀬氏。JAMA、Lancet、NEJM、BMJをはじめ、主要論文誌をインターネットで読むのが日課。興味を引かれた論文を、牧瀬氏が紹介します。

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