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ラドンによる肺癌のリスク、日本は大丈夫?

2009/01/11

 新築家屋の室内ラドン濃度に基準値を設ける施策は、肺癌予防に高い費用対効果がある、とする英国オックスフォード大からの報告がBMJに掲載された。

 とある国では、「ラドン浴」などと称する高ラドン環境(自称)の密閉空間にわざわざ金を出して行き、「健康になった」と喜んでいる人たちもいるのだが。

Lung cancer deaths from indoor radon and the cost effectiveness and potential of policies to reduce them
BMJ 2009;338:a3110, doi:10.1136/bmj.a3110(Published 6 January 2009)

【デザイン】 費用対効果分析
【場所】 英国
【主要アウトカム測定】 室内ラドンによる肺癌死亡数の推定、ラドンに関する様々な介入を行う前後での肺癌による生涯死亡リスク、ラドンをコントロールする様々な施策によるquality adjusted life year(QALY:生活の質で調整した生存年数)の増加と肺癌死亡率減少の可能性
【結果】英国の家屋内での平均ラドン濃度は21 Bq/m3だった。肺癌による年間約1100人の死亡(肺癌全体の3.3%)が家屋内のラドン由来であった。これらのうち、85%超は100 Bq/m3未満のラドン濃度下で出現しており、大半はラドンと積極的喫煙の両方によるものである。
 新築家屋でのラドン曝露を予防するために、英国内のある地域で行われた基準値の設定は、非常に費用対効果が高く、英国全体に広げたとしてもその効果は維持されると考えられた。1QALY当たりのコストは1万1400ポンド(1万2200ユーロ、1万6913ドル)だった。
 高ラドン濃度を示す既存家屋に対する施策は、費用対効果は低く(QALY当たりのコスト増加3万6800ポンド)、肺癌死亡率減少にも効果がない。
【結論】新築家屋内でのラドン濃度に基準値を設けるという施策は、英国全体で展開しても費用対効果は高く、喫煙政策を補完的な役割を果たすだろう。高ラドン濃度を示す既存家屋への対策などは、ラドン関連死の防止にほとんど役に立たないが、これは多くの家屋で曝露があまり多くないからである。これらの結論は、英国よりもラドン濃度が高いであろう多くの発展途上国にも適用できるだろう。

著者プロフィール

牧瀬洋一(牧瀬内科クリニック院長)●まきせ よういち氏。1984年鹿児島大卒後、同大第一内科入局。大隅鹿屋病院などを経て、95年牧瀬内科クリニック(鹿児島県大崎町)開業。98年に有床診化(19床)。

連載の紹介

牧瀬洋一の「内科開業医のお勉強日記」
内科開業医として、呼吸器を中心に地域の患者を幅広く診察している牧瀬氏。JAMA、Lancet、NEJM、BMJをはじめ、主要論文誌をインターネットで読むのが日課。興味を引かれた論文を、牧瀬氏が紹介します。

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