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憩室でも、ナッツ制限の必要はない?

2008/09/09

 大腸憩室(炎)では、ナッツや豆類を制限すべき。以前はそう習った気がする。粉砕された破片が憩室に滞留し、炎症を起こすという話は納得できるし、外科医からも「憩室炎の手術をしたらピーナッツが出てきた」なんて話を実際に聞いたことがあった。

 しかし今は、科学的エビデンスはないという見方が一般的となっているようだ。MayoClinic.comでも、「あなたに憩室があって、恐いと思うなら、ナッツ類や小さい種がある食物は避ければいいんじゃない? その分の食物繊維はほかで摂らなければならないけど…」と、つれない返事(笑)。

 The Health Professionals Follow-up Studyとやらのデータ解析で、Strateらは、憩室の存在が知られてないケースの18年フォローアップにて、ナッツおよびポップコーンの摂取量と憩室炎のリスクは逆相関となることを示した。

Nut, Corn, and Popcorn Consumption and the Incidence of Diverticular Disease
JAMA. 2008;300:907-914.

The Health Professionals Follow-up Studyにて、憩室症、憩室合併症、癌、炎症性腸疾患(IBD)に罹患していない登録者は4万7228人(40-75歳)。

18年のフォローアップ期間において、憩室炎は801ケース、憩室出血は383ケースあった。

ナッツ、コーン、ポップコーンのそれぞれについて、摂取の頻度が最も高いグループ(週2回以上)と最も低いグループ(月1回未満)を比較。最も高いグループのハザード比は、ナッツが0.80(95%信頼区間 0.63-1.01、P=0.04) 、ポップコーンが0.72(95%信頼区間 0.56-0.92、P=0.007)で、ナッツ、ポップコーンの摂取頻度と憩室炎のリスクには逆相関が認められた。

コーン摂取と憩室炎のリスクの相関は認めず、ナッツ、コーン、ポップコーンと憩室出血、合併症を伴わない憩室症のリスクの間にも相関は見られなかった。

著者プロフィール

牧瀬洋一(牧瀬内科クリニック院長)●まきせ よういち氏。1984年鹿児島大卒後、同大第一内科入局。大隅鹿屋病院などを経て、95年牧瀬内科クリニック(鹿児島県大崎町)開業。98年に有床診化(19床)。

連載の紹介

牧瀬洋一の「内科開業医のお勉強日記」
内科開業医として、呼吸器を中心に地域の患者を幅広く診察している牧瀬氏。JAMA、Lancet、NEJM、BMJをはじめ、主要論文誌をインターネットで読むのが日課。興味を引かれた論文を、牧瀬氏が紹介します。

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