大腸憩室(炎)では、ナッツや豆類を制限すべき。以前はそう習った気がする。粉砕された破片が憩室に滞留し、炎症を起こすという話は納得できるし、外科医からも「憩室炎の手術をしたらピーナッツが出てきた」なんて話を実際に聞いたことがあった。
しかし今は、科学的エビデンスはないという見方が一般的となっているようだ。MayoClinic.comでも、「あなたに憩室があって、恐いと思うなら、ナッツ類や小さい種がある食物は避ければいいんじゃない? その分の食物繊維はほかで摂らなければならないけど…」と、つれない返事(笑)。
The Health Professionals Follow-up Studyとやらのデータ解析で、Strateらは、憩室の存在が知られてないケースの18年フォローアップにて、ナッツおよびポップコーンの摂取量と憩室炎のリスクは逆相関となることを示した。
Nut, Corn, and Popcorn Consumption and the Incidence of Diverticular Disease
JAMA. 2008;300:907-914.
The Health Professionals Follow-up Studyにて、憩室症、憩室合併症、癌、炎症性腸疾患(IBD)に罹患していない登録者は4万7228人(40-75歳)。
18年のフォローアップ期間において、憩室炎は801ケース、憩室出血は383ケースあった。
ナッツ、コーン、ポップコーンのそれぞれについて、摂取の頻度が最も高いグループ(週2回以上)と最も低いグループ(月1回未満)を比較。最も高いグループのハザード比は、ナッツが0.80(95%信頼区間 0.63-1.01、P=0.04) 、ポップコーンが0.72(95%信頼区間 0.56-0.92、P=0.007)で、ナッツ、ポップコーンの摂取頻度と憩室炎のリスクには逆相関が認められた。
コーン摂取と憩室炎のリスクの相関は認めず、ナッツ、コーン、ポップコーンと憩室出血、合併症を伴わない憩室症のリスクの間にも相関は見られなかった。