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ACE阻害薬 vs. ARBのガチンコ対決

2008/01/16

 Ann Int Medのシステマティックレビューとして表記の対決が記載されている。

 ACE阻害薬アンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)をどのように使い分けるかは難しい。信頼できる直接比較の報告が乏しく、製薬会社から配布されるパンフをうのみにせざる得ない状況である。
Systematic Review: Comparative Effectiveness of Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors and Angiotensin II Receptor Blockers for Treating Essential Hypertension
Ann Int Med. Vol. 148(1) 16-29 Jan 1 2008

高血圧が寄与すると考えられる疾患や死亡は高頻度であるにもかかわらず、そのコントロールは今ひとつであるのが現状である。効果が期待される非薬物的な介入に加え、多くの患者は薬物治療が必要で、複数の薬物が求められる。多くの選択枝の中で、頻度が高いのが最近はレニン・アンジオテンシン系の阻害薬であり、ACE阻害薬とARBである。臨床的にはACE阻害薬とARBは効果はほぼ同等とされるが、どちらが適切なのかは今だ明らかではない。

ACE阻害薬はアンジオテンシンIIの産生を完全にはブロックできない。ACE阻害薬はARBに見られない咳嗽(5~20%)と血管性浮腫(推定頻度0.1~0.2%)というよく知られた副作用が存在する。

ACE阻害薬もARBも本態性高血圧に対して有効性が高いが、互いの比較、有効性、副作用、有害性などは不明である。


成人本態性高血圧患者についてACE阻害薬とARBを直接比較した61の臨床研究をセレクト。研究はいずれも12週以上、20人以上の患者を対象としたもの。

血圧への長期的な影響はACE阻害薬とARBで類似(50の研究;エビデンス強度:high)。

死亡、心血管イベント、QOL、降圧薬単剤によるコントロールの比率、糖尿病の進展、左室容積・機能、腎疾患など、血圧以外のアウトカムでも、両者の違いは認められない(長期アウトカム研究はほとんどない)。

ACE阻害薬の咳嗽リスク増加はfairからgoodのエビデンスにより示された。

確定的ではないが、副作用イベントによる中断、持続性に関しては、ACE阻害薬よりARBの方が優れていた。

ACE阻害薬あるいはARBがより効くのはどういった患者か、副作用が少ないのはどういった患者か、より耐用性がよいのはどういった患者か。これらはいずれも明確ではなかった。

【単剤治療成功の比較】
【副作用としての咳嗽の比較】
【副作用イベントによる中断】

著者プロフィール

牧瀬洋一(牧瀬内科クリニック院長)●まきせ よういち氏。1984年鹿児島大卒後、同大第一内科入局。大隅鹿屋病院などを経て、95年牧瀬内科クリニック(鹿児島県大崎町)開業。98年に有床診化(19床)。

連載の紹介

牧瀬洋一の「内科開業医のお勉強日記」
内科開業医として、呼吸器を中心に地域の患者を幅広く診察している牧瀬氏。JAMA、Lancet、NEJM、BMJをはじめ、主要論文誌をインターネットで読むのが日課。興味を引かれた論文を、牧瀬氏が紹介します。

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