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慢性頸部痛の運動療法には全般的なフィットネスより頸肩部の筋トレ

2008/01/15

 頸部痛と一口に言っても、原因となる疾患は多い。ひどい例では髄膜炎なども頸部痛だし…。まあ、その範疇は広い。例えば、(1)筋挫傷(muscle strain)、(2)関節炎、(3)椎間板疾患、(4)外傷――に分かれるとする記載もある。(参考:MayoClinic.ocm

 ただ、一般診療において現実的に多いのは、仕事関連の頸部痛、特に“trapezius myalgia”(Acta Orthop Scand. 1988 Oct;59(5):552-6.)である。

 成人の半数以上は頸部痛のエピソードを有し、女性では男性より持続性であることが多い。特に、コンピューターを用いた仕事は頸部症状と関係することが多く、より特異的で、僧帽筋下行部分の痛みを伴うことが多く、「trapezius myalgia」つまり「僧帽筋の筋肉痛」と称せられる。

 この疾患では、「筋生検の結果、筋肉痛群では、有意にtype II A 線維が増加し、毛細血管床の増加と肥厚が見られる。筋肉痛群ではシトクロームCオキシダーゼ欠損線維が対照群に比べ増加しており、損傷・修復機転に影響を与えている」というのが1つの病因と考えられている。

 治療戦略の1つとして、血流を増加させ、この損傷修復機転を改善させてあげようというのは、まあ、考えとしては当然なのかもしれない。マッサージや低周波治療などもその一環である。

 もう1つの考えは、筋肉の脆弱性が主因となる、もしくは予備能を改善することで再発を防ぐというもの。筋力の増強が根本治療に近いはずである。ところが実際には、せいぜい「肩こり体操」のパンフを渡して指導終了ということが多いのではないだろうか?

 職業的な慢性頸部痛を訴える女性は頸部関連筋肉の特異的強化トレーニングで改善するという報告。一般的なフィットネストレーニングでも疼痛は軽減するが、それよりも筋肉特異的強化トレーニングがより効果的ではないかという仮説の証明で、「“trapezius myalgia”に対して、疼痛のある筋肉に、週3回20分の高負荷動的強化トレーニングを推奨する」と著者らは述べている。

著者プロフィール

牧瀬洋一(牧瀬内科クリニック院長)●まきせ よういち氏。1984年鹿児島大卒後、同大第一内科入局。大隅鹿屋病院などを経て、95年牧瀬内科クリニック(鹿児島県大崎町)開業。98年に有床診化(19床)。

連載の紹介

牧瀬洋一の「内科開業医のお勉強日記」
内科開業医として、呼吸器を中心に地域の患者を幅広く診察している牧瀬氏。JAMA、Lancet、NEJM、BMJをはじめ、主要論文誌をインターネットで読むのが日課。興味を引かれた論文を、牧瀬氏が紹介します。

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