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アンチエイジングを紹介する報道番組を見て…

2007/11/27

 過日、報道番組と名称のつく番組で、「アンチエイジング」診療所が紹介されていた。

 放送された診療所のウェブサイトには、「『キレーション、血液クレンジング、血液改善療法、栄養療法、オゾンツボ打ち注射、デトックス、栄養点滴、ホルモン補充療法、ジェロビタール療法』などを主体とする診療内容」という記載があった。

 QuackWatch(http://www.quackwatch.org/01QuackeryRelatedTopics/chelation.html)では、このキレーション治療についても触れている。「証明されていない効能と不合理な理論」という見解である。

 American College for Advancement in Medicine (ACAM)は1973年にAmerican Academy for Medical Preventicsの基金によって設立された組織で、このキレーション治療をプロモーションするのが目的だそうだ。Cranton's "textbook" が安全で有効性のある投与法として、ACAM プロトコルとされている。

 臨床トライアルとしては今までのところ、一貫して、Guldager Bら(デンマーク)Knudtson MLらErnst Eなどと、次々に否定的なトライアル結果が出されている。

 安全性に関して、

Crantonらは600万例の治療で安全性が確立したと書いているが、低カルシウム血症、腎障害、アレルギー(EDTA溶液成分への過敏性)、低血糖、血液凝固障害、うっ血性心不全、肝障害、結核に関してその危険性に関して警告している。低カルシウム血症は、不整脈、テタニー、腎障害、異常出血を生じうる凝固能低下、血栓性静脈炎、塞栓の可能性、インスリンショック、重症の血管炎、自己免疫関連溶血性貧血、掻痒を伴う皮膚炎あるいは全身性湿疹、動脈硬化および慢性疾患患者においては血小板の広範凝集が見られる可能性がある。より重要な考慮点は、微量元素、亜鉛のようなものをキレートしてしまう危険性である。フランスの研究者はEDTA投与後、尿中亜鉛が正常の15倍に増えたと報告している。補充しない場合は、免疫機能へ重大な影響、前癌的な細胞の遺伝子変異、細胞膜の選択的透過性の低下、膵臓のインスリン可溶性の変化などが生じる可能性を記載している。

著者プロフィール

牧瀬洋一(牧瀬内科クリニック院長)●まきせ よういち氏。1984年鹿児島大卒後、同大第一内科入局。大隅鹿屋病院などを経て、95年牧瀬内科クリニック(鹿児島県大崎町)開業。98年に有床診化(19床)。

連載の紹介

牧瀬洋一の「内科開業医のお勉強日記」
内科開業医として、呼吸器を中心に地域の患者を幅広く診察している牧瀬氏。JAMA、Lancet、NEJM、BMJをはじめ、主要論文誌をインターネットで読むのが日課。興味を引かれた論文を、牧瀬氏が紹介します。

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