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抗ウイルス薬はインフルエンザ入院患者の死亡率を減少させる

2007/11/15

 米国感染症学会(IDSA)のニュースリリース(2007年11月12日)にもこの論文のことが紹介されている。すなわち、抗ウイルス薬が入院患者の死亡率を減少させたという重大な報告である。

Antiviral Therapy and Outcomes of Influenza Requiring Hospitalization in Ontario, Canada
Clinical Infectious Diseases.

【背景】
前向きコホート研究で、南オンタリオのインフルエンザ入院患者に対する抗ウイルス治療の効果を評価

【方法】
トロントの Invasive Bacterial Diseases Networkに参加する病院に入院した患者(2005年1月1日から06年5月31日) のうち、検査で判明したインフルエンザ患者が対象。
患者プロフィール、医学データを患者・医師インタビューとカルテレビューにて収集。
主要アウトカム評価は症状発症後15日以内の死亡。

【結果】
15歳未満の185人の小児で、死亡、抗ウイルス治療による死亡はなし。

成人327人の年齢の中央値は77歳(15-98歳)、166人が男性(51%)、245人(75%)が慢性基礎疾患を有し、216人(71%)がインフルエンザワクチン接種。

成人327人のうち184人(59%)が、症状発症後48時間以内に救急部を受診。
 52人(16%)がICU入室
 27人(8.3%)が発症後15日以内に死亡

抗菌治療を292人(89%)が受け、106人(32%)が抗ウイルス治療を受けた。

インフルエンザに対する抗ウイルス治療は死亡率減少と有意に相関(オッズ比0.21、95%信頼区間 0.06-0.80、p=0.03)

生存者の入院期間に対しては、抗ウイルス治療の効果は明らかではなかった。

【結論】
高度ワクチン接種群においてもインフルエンザが重要である状況が存在した。
抗ウイルス薬治療は有意な死亡率減少と相関する。

著者プロフィール

牧瀬洋一(牧瀬内科クリニック院長)●まきせ よういち氏。1984年鹿児島大卒後、同大第一内科入局。大隅鹿屋病院などを経て、95年牧瀬内科クリニック(鹿児島県大崎町)開業。98年に有床診化(19床)。

連載の紹介

牧瀬洋一の「内科開業医のお勉強日記」
内科開業医として、呼吸器を中心に地域の患者を幅広く診察している牧瀬氏。JAMA、Lancet、NEJM、BMJをはじめ、主要論文誌をインターネットで読むのが日課。興味を引かれた論文を、牧瀬氏が紹介します。

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