肥満がすべて悪いのだろうか?
「BMIが増えると合併症・死亡率が減る」という“Obesity Paradox”なる現象の存在が議論され始めている。
Obesity paradox in patients with hypertension and coronary artery disease. Am J Med 2007 120:863-70. Uretsky S, Messerli FH, Bangalore S et al.
obestiy paradoxについて、冠動脈疾患を有する2万2576人の高血圧治療患者で検討。対象者の2.2%がやせ、20.0%が正常体重、39.9%が過体重、24.6%がclass I の肥満、13.2%がclass II~III の肥満。
正常体重の患者を対照とし、全原因死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の初回発症を検討すると、過体重、class I~IIIの肥満で発症が少ないことが判明し、やせ患者の方がリスクがより高かった。
この結果は、血圧減少が最も少ないclass I 肥満でさえ見られるものであり、BMIは必ずしも特定の高リスク患者においては合併症・死亡率を意味するものではない。