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肥満の友人を持つと肥満になる?!

2007/07/26

 米国では、Framingham Heart Studyの一部として、1971~2003年までに、肥満のヒト-ヒトの伝播についての分析が繰り返し行われ、疫学的解析により社会ネットワークを通して肥満が広がることが判明した。肥満の頻度は米国では23~31%、過体重は66%とのことである。

 肥満の疫学的な説明として、不活動性や食事摂取といった社会的変化が影響を与え、遺伝的な問題だけでは説明できないとされていた。これはすべての社会経済的グループで言えることで、社会ネットワーク内でヒト―ヒト間で肥満は広がるのではないかという仮説が立てられ、それを検討した結果が今回の報告である。

 社会ネットワークを包含し、人々の行動が体重増加をもたらす。肥満者との社会的接触は、肥満への耐用性に影響を与え、その肥満者の行動(例:喫煙、食事、運動など)適応に影響を与えることとなる。厳格な社会的メカニズムに加え、心理的規制が生じ、食行動への脳の領域が他者の食行動を観察することで影響される可能性があり、肥満は感染し得るものだとも考えられる。

◆The Spread of Obesity in a Large Social Network over 32 Years. NEJM.2007;357:370-379.

1万2067人の密な相互社会ネットワークを繰り返し調査し、個人の体重増加が友人や兄弟、配偶者、隣人の体重増加と関連があるかを調査した。

肥満のはっきりしたcluster(集団)がすべての時点で認められ、3次元として広がる。
このclusterは、単に肥満者に限定した社会的つながりを形成しているようではない。

友達が肥満なら、肥満となる可能性は57%(95%信頼区間5~123%)増加。
成人の兄弟のペアでは、片方が肥満なら、もう片側が肥満となる可能性は40%(95%信頼区間21~60%)増加。
配偶者が肥満なら、片方が肥満となる可能性は37%(95%信頼区間7~73%)。
地理的居住地の単なる隣人関係では、関係性は認められない。
同姓の人は、異性よりも影響を受けやすい。
禁煙の広がりは、肥満の広がりに影響を与えてない。

著者プロフィール

牧瀬洋一(牧瀬内科クリニック院長)●まきせ よういち氏。1984年鹿児島大卒後、同大第一内科入局。大隅鹿屋病院などを経て、95年牧瀬内科クリニック(鹿児島県大崎町)開業。98年に有床診化(19床)。

連載の紹介

牧瀬洋一の「内科開業医のお勉強日記」
内科開業医として、呼吸器を中心に地域の患者を幅広く診察している牧瀬氏。JAMA、Lancet、NEJM、BMJをはじめ、主要論文誌をインターネットで読むのが日課。興味を引かれた論文を、牧瀬氏が紹介します。

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