日経メディカルのロゴ画像

高インスリン肥満では低炭水化物食が効果大

2007/05/16

 食事介入を行っても、個々の生理的特性が異なるために、減量へのアウトカムはばらばらになる可能性がある。「low-glycemic load」と「low fat load」という区別がある。炭水化物を減らす食事と脂質を主に減らす食事が、肥満若年者のインスリン分泌にどのように影響するかを検討したところ、前者の方が体重減少・体脂肪比率減少という効果が出やすいことが分かった。すなわち、食後インスリン濃度の高い人に対しては、炭水化物を押さえた方が減量・体脂肪減少効果が表れやすいようである(図)

 ただし、低炭水化物食はHDL-コレステロールと中性脂肪は改善するが、LDL-コレステロールに関しては、低脂肪食が好ましいといえる。今後、食事・栄養指導の個別化が望まれるのかもしれない。

◆Effects of a Low-Glycemic Load vs Low-Fat Diet in Obese Young Adults: A Randomized Trial.JAMA.2007;297:2092-2102.

【序文】肥満治療に関する食事の臨床トライアルについては、一致した結論があるわけではない、それは恐らく研究対象者の間の生理学的違いによる可能性もある。

【目的】2種類の食事が、インスリン分泌が体重減少に影響を与えるか。

【デザイン、セッティング、参加者】ボストンにおける、ランダム化トライアル。
肥満の若い成人(18~35歳、n=73)を対象に、2004年9月から2006年12月にかけて実施。
6カ月の強化介入期間と12カ月のフォローアップ期間。
経口75gブドウ糖投与30分後の血中インスリン濃度でインスリン分泌測定。
6、12、18カ月時点でアウトカム評価。

【介入】低炭水化物負荷食 (40%炭水化物と35%脂肪) 対 低脂質食 (55%炭水化物と20%脂肪)

【主なアウトカム測定】 体重、体脂肪比率(dual-energy x-ray absorptiometry測定)、心血管疾患リスク要因

【結果】体重、体脂肪比率は両群とも全体的変化なし。
しかし、経口糖負荷30分後のインスリン濃度に関しては、修飾因子となり得ると判断。
18カ月後、糖負荷30分後の高インスリン濃度対象者〔中央値超(57.5IU/mL、n=28)〕では、低炭水化物食による体重減少の程度が大きく(―5.8 対 ―1.2 kg、P=0.004)、体脂肪比率の減少も大(―2.6% 対 ―0.9%、P=0.03)である。
糖負荷30分後のインスリン濃度中央値未満のケース(n=28)では、両群で有意差なし。
糖負荷30分後のインスリン濃度は心血管疾患リスク要因に有意な影響を与えていなかった。
すべてのコホートで、血中HDL-コレステロールと中性脂肪の濃度は低炭水化物食でより改善し、低脂肪食ではLDL-コレステロールが改善した。

【結論】 食事減量療法の可変性は、ホルモン反応の違いが寄与しているのかもしれない。
炭水化物負荷を減らせば、インスリン分泌のよい人たちは体重減少に働く。
インスリン分泌にかかわらず、低炭水化物食はHDL-コレステロール、中性脂肪に対して良い方向に働くが、LDL-コレステロールに対しては悪い方向に働く。

著者プロフィール

牧瀬洋一(牧瀬内科クリニック院長)●まきせ よういち氏。1984年鹿児島大卒後、同大第一内科入局。大隅鹿屋病院などを経て、95年牧瀬内科クリニック(鹿児島県大崎町)開業。98年に有床診化(19床)。

連載の紹介

牧瀬洋一の「内科開業医のお勉強日記」
内科開業医として、呼吸器を中心に地域の患者を幅広く診察している牧瀬氏。JAMA、Lancet、NEJM、BMJをはじめ、主要論文誌をインターネットで読むのが日課。興味を引かれた論文を、牧瀬氏が紹介します。

この記事を読んでいる人におすすめ