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認知機能低下を防ぐなら運動を

2007/04/28

 超高齢者の認知機能低下を防止するには運動が有効だという。しかも、女性の方が効果があるそうだ。しかし、実際には逆かもしれない。体を動かさない人は認知機能が低下しやすい。

 「2ちゃんねる」などをみると、“老人氏ね”などとよく書かれている。相互扶助精神の欠如を感じる。そして、「おまえらがじじいになったときも、同じように言われる」などとレスが書かれることになるのだが、認知障害のことを調べると、「祖母仮説(grandmother hypothesis)」の存在に気付く。生物学的な再生産可能年齢を超えた人間でも、生物学的に無用ではないのである。祖母仮説は、世代間情報伝達は人間の生活社会にとって重要な役割を果たしているという考えである。俗に言えば、「おばあちゃんの知恵」なのだが、わが国では核家族化により世界的に稀といえる「祖父母と孫」の世代間隔絶が進んでおり、これが日本社会にとって非常に危険な要因となっている。

 と、かなり脱線した…。

 以下の論文は、前向きなので評価できる研究なのだろう。身体運動(PA:physical activity)と、認知機能障害(CI:cognitive impairment)の関係を85歳以上で調べている。

◆Physical Activity and the Risk of Dementia in Oldest Old.Journal of Aging and Health.2007;19:242-259.

66人の健康な平均88.5歳の高齢者で生存率分析。
12人の男性、11人の女性で週4時間超の運動、38人でCI進展(平均発症年齢93歳、平均フォローアップ4.7年)。

運動の影響は性別で異なる。
運動時間が週4時間超の女性は、活動性の低い女性と比べてCIのリスクが88%(95%信頼区間0.03~0.41)減少。

活動性が低い女性は、男性に比べてCIの発生頻度は2倍で、身体活動の高い女性に比べれば約5倍のリスクである。

この研究は超高齢者における脳の加齢機能悪化に対する、運動の有益性を示したもの。

著者プロフィール

牧瀬洋一(牧瀬内科クリニック院長)●まきせ よういち氏。1984年鹿児島大卒後、同大第一内科入局。大隅鹿屋病院などを経て、95年牧瀬内科クリニック(鹿児島県大崎町)開業。98年に有床診化(19床)。

連載の紹介

牧瀬洋一の「内科開業医のお勉強日記」
内科開業医として、呼吸器を中心に地域の患者を幅広く診察している牧瀬氏。JAMA、Lancet、NEJM、BMJをはじめ、主要論文誌をインターネットで読むのが日課。興味を引かれた論文を、牧瀬氏が紹介します。

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