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高齢者のせん妄にどう対処するか

2007/04/21

 入院患者がせん妄となったとき、現疾患の治療に多大なる影響を及ぼし、現疾患の治療中断に至ることもある。対応に付ききりにならざるを得ないなど、医療関係者や家族への精神的な負担、人的コストは膨大なものであるはず。

 だが、不幸なことに、医療施策の作成者はこのことを全く理解していない。そんな中、現場の従事者は、せん妄予防に対して系統的に取り組まなければ、様々なトラブルを具有することになる。時には、看護師などが、医者個人に「対処しろ」と脅迫じみた言動をすることもあれば、その逆もある。それが日本の医療の現状である。せん妄は、施設内で対策を事前に検討し、系統的に対処すべき問題なのである。

 BMJにせん妄に関するシステマティックレビューが掲載されたが、英国でも、高齢者のせん妄は、そのインパクトの割に軽視されているとのことである。ただ対応によっては、3分の1程度ながら、その頻度を減少させることができるそうであり、その臨床上の注意点がまとめられている。

◆Clinical Review.BMJ.2007;334:842-846.

せん妄は高齢者の急性疾患ではよく見られる。
せん妄の発症は好ましからぬ臨床的結果と相関する。
せん妄は、引き金となる因子と関連した、長期間を経過していない、変動する注意障害と意識レベル低下が特徴。
健康状態の良くない高齢者に対して、ルーチンに認知機能を評価することで、検出率を上げることができる。
ルーチンのケアのシステムの質を上げることで、少なくても3分の1の患者で、予防可能であるという良質なエビデンスがある。

著者プロフィール

牧瀬洋一(牧瀬内科クリニック院長)●まきせ よういち氏。1984年鹿児島大卒後、同大第一内科入局。大隅鹿屋病院などを経て、95年牧瀬内科クリニック(鹿児島県大崎町)開業。98年に有床診化(19床)。

連載の紹介

牧瀬洋一の「内科開業医のお勉強日記」
内科開業医として、呼吸器を中心に地域の患者を幅広く診察している牧瀬氏。JAMA、Lancet、NEJM、BMJをはじめ、主要論文誌をインターネットで読むのが日課。興味を引かれた論文を、牧瀬氏が紹介します。

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