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「対応困難な患者」にどう対処する?

2007/04/13

 「Difficult Patinet」というとらえ方がある(Am Fam Physician 2005;72:2063-8.)。すべての医師は、行動的あるいは情緒的な要因により、治療が困難だと感じる患者に対しても医療を行わなければならない、とされている。

 治療の困難さは、患者側要因と医師側要因のほかに、医療システム要因に起因する可能性がある。患者側要因としては、精神的疾患、パーソナリティー障害、無症候性の行動特性が、医師側要因としては、過重労働、コミュニケーション・スキルの貧困さ、経験不足などが挙げられる。さらに、医療システムの要因としては、生産性追求の圧力、医療全体への不信、受診中断、外的情報の活用による医師の権威の変化がある(ほとんどの医師の権威は失墜したものの、一部の医師では権威上昇とされている。それが正しいかどうかは、テレビ番組の常連組の質の低さから推測すればかなり疑問だが…)。

 患者の未治療の精神病理に関しては、注意深く評価しなければならない。医師は、職業的なケアを追求し、同僚をサポートしなけれならない。特異的なコミュニケーション・スキルと医療の過程で患者とのかかわりを多くすることが、その関係を改善するのかもしれない。

 私は、この「Difficult Patient」は年々多くなり、「Difficult family」も日本では問題のような気がする。自分のことでなく、家族のことを感情的に…、考える家族である。そのケアにかかるコストが、医療生産性を非常に低くしていると思う。その上、遺族感情を重視しすぎる面もある。昨今の司法判断は、その生産性の低さを助長しているように思える。

日本の労働生産性、米の7割・05年、主要国で最低。
日本の労働生産性が2005年時点で米国の7割程度と、主要国で最低水準にとどまっていることが内閣府の分析で明らかになった。就業者の多い卸・小売業、運輸などサービス分野で低迷が目立ち、米国との同分野での格差は2000年以降広がっている。IT(情報技術)の活用や規制緩和で差がついた可能性があり、日本経済の成長力強化へ、サービス分野の効率化が必要になりそうだ(4月11日の日本経済新聞・朝刊)。

著者プロフィール

牧瀬洋一(牧瀬内科クリニック院長)●まきせ よういち氏。1984年鹿児島大卒後、同大第一内科入局。大隅鹿屋病院などを経て、95年牧瀬内科クリニック(鹿児島県大崎町)開業。98年に有床診化(19床)。

連載の紹介

牧瀬洋一の「内科開業医のお勉強日記」
内科開業医として、呼吸器を中心に地域の患者を幅広く診察している牧瀬氏。JAMA、Lancet、NEJM、BMJをはじめ、主要論文誌をインターネットで読むのが日課。興味を引かれた論文を、牧瀬氏が紹介します。

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