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フランスの集中治療医の半数が“燃え尽き”

2007/03/24

 「医師の労働時間は大したことない」と国会で厚生労働省大臣が発言するような国で、医師の労働環境が守られるはずもない。

 フランスではICUで働く医師を対象に、国家的に“医師の燃え尽き”を調査しているようである。その結果、約半数が“燃え尽き”ているとのことだ。日本でも国家的に調査などすべきだが、しないだろうな、と思う。あんな発言をする大臣の下では。

◆High Level of Burnout in Intensivists Prevalence and Associated Factors.American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine.2007;175:686-692.

職業上の燃え尽き(burnout)は、職務上の慢性の人的なストレッサーによる心理的症候群として問題となっている。集中治療医は、患者の生命がその手腕にかかわるため特にストレスにさらされるだろうと考えられる。

1日の国家的研究をフランスの公的病院の成人ICUで調査
測定:燃え尽き度をMBI(Maslach Burnout Inventory)で評価
 参考:http://www.mindtools.com/stress/Brn/BurnoutSelfTest.htm
結果:
189のICUで978人を調査、回答率は82.3%
回答者のうち燃え尽き度の高い人の割合は46.5%

順序ロジスティック解析にて、女性(オッズ比1.58、95%信頼区間1.09-2.30)が独立したMBI値高値の因子であった。

患者重症度に関する因子は認められなかったが、組織的な要因がMBIスコアと強く相関があった。
過労(1カ月当たりの夜勤回数、労働がない週から長期間たっていること、調査前の夜間シフト)と、職場の人間関係がうまくいっていないこと(他のICU専門医や看護師との対立)が独立した高MBIスコアの因子であった。

逆に、チーフ看護師や看護師たちとの関係が良いことと、MBIスコア低値とは相関があった。
結論としては、ICUで働く医師の約半数は燃え尽きており、組織的な要因が主で、患者の重症度とは関連が少なかった。

著者プロフィール

牧瀬洋一(牧瀬内科クリニック院長)●まきせ よういち氏。1984年鹿児島大卒後、同大第一内科入局。大隅鹿屋病院などを経て、95年牧瀬内科クリニック(鹿児島県大崎町)開業。98年に有床診化(19床)。

連載の紹介

牧瀬洋一の「内科開業医のお勉強日記」
内科開業医として、呼吸器を中心に地域の患者を幅広く診察している牧瀬氏。JAMA、Lancet、NEJM、BMJをはじめ、主要論文誌をインターネットで読むのが日課。興味を引かれた論文を、牧瀬氏が紹介します。

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