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超多剤耐性結核が日本で蔓延する日も近い?

2007/02/15

 2005年の初めに、南アフリカ共和国の田舎で、結核を有するHIV患者の高い死亡率が注目された。それ以降、多剤耐性結核MDR-TB)だけでなく、超多剤耐性結核XDR-TB)が問題にされるようになった。XDR-TBは、イソニアジドとリファンピシンの両方に耐性(これがMDR結核の定義)であり、加えてフロロキノロンおよび3つの抗菌薬(カナマイシン、カプレオマイシン、アミカシン)の少なくとも1剤に耐性があるもの、と定義される。これに関する論文が、最近のNEJMに掲載された。

◆XDR Tuberculosis? Implications for Global Public Health. NEJM.2007;356:656-659.

XDR-TBの53人のうち55%は結核の治療歴のない人で、3分の2は入院歴があった。
検査を受けた44人全例がHIV陽性だった。1人を除いてすべて死亡。喀痰検査後の死亡期間の中央値はわずか16日。
結核菌種は、KwaZulu-Natalに属することが判明。

2006年8月のカナダ・トロントの国際AIDS学会カンファレンスで注目が集まったが、これが初めての報告でなく、2006年3月にCDCP/WHOで報告されたものであった。MDR-TBの10%がXDR-TBであるというデータであり、米国、韓国、ラトビアではその割合は4%、15%、19%であった。

2006年秋、国際的専門会議によりXDR-TBの検査的定義に関して同意が得られた。

XDR-TBの世界的脅威は、公衆衛生の面で非常に重要である。この蔓延は、薬剤耐性を最小限にとどめるべきという結核の本来のマネージメント、その弱体化の反映である。迅速かつ正確な診断、速効的かつ適切な根本治療、適切な期間服用するよう支援・監視する機能が結核コントロールの鍵である…。

著者プロフィール

牧瀬洋一(牧瀬内科クリニック院長)●まきせ よういち氏。1984年鹿児島大卒後、同大第一内科入局。大隅鹿屋病院などを経て、95年牧瀬内科クリニック(鹿児島県大崎町)開業。98年に有床診化(19床)。

連載の紹介

牧瀬洋一の「内科開業医のお勉強日記」
内科開業医として、呼吸器を中心に地域の患者を幅広く診察している牧瀬氏。JAMA、Lancet、NEJM、BMJをはじめ、主要論文誌をインターネットで読むのが日課。興味を引かれた論文を、牧瀬氏が紹介します。

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