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デトックスをやめろ、水道水を飲み、早く寝ろ!

2007/02/12

 関連したテレビ局は他の業種の不祥事を批判することには懸命であるが、「発掘!あるある大事典」のねつ造問題に関してはほとんど報道しない姿勢のようである。しかも、相も変わらず、フジテレビ系列の朝の番組でデトックス関連商品を連呼していた。今回の事件は、健康情報に関するメディアの姿勢を正すべき良い機会だと思うのだが、当事者たちは、些事として済ますつもりなのだろうか。インサイダー取引や金銭の関与などもうわさされており、些事ではないと私などは思う。テレビなどのメディアにおいては、「food faddism(特定の食べ物で健康になるという妄想)」をあおり、広告収入を直接的あるいは間接的に得ている構造が透けて見える。

 さて、この「Detox」「デトックス」という言葉も、街中でも頻繁に見るようになった。

 デトックスは、食事、錠剤、ドリンク商品などにより毒素を外に出すというビジネスから、「自然食」を食して毒素を取り入れない、あるいは外に出すという信念に基づく生活スタイルまで、様々な形で広がっている。

 「sense about science」(http://www.senseaboutscience.org.uk/index.php/site/project/14/)では2006年1月、科学者たちが「Drop‘detox’: have a glass of tap water and get an early night!」(デトックスをやめろ:水道水を飲み、早く寝ろ!)というプレス・リリースを発表している。

 要は、デトックス・ビジネスに金を消費するのはもったいないということである。

われわれの体はもともと「detox(解毒)」メカニズムを持っており、腸には体内に入った細菌や毒素に対する防御機能があり、有害物質が体内に入ったとき、体外排泄機能を有し、水溶性に変換させ、腎臓から排泄する。
デトックス錠剤やデトックス靴下、デトックス水を飲み、イラクサ根(Nettle Root)を食し、薬草を含むものを飲み、「酸化水」を飲むことでは、有効にこの体内の解毒機能は働かないのである。
特別な「デトックス」食や他の製品や儀式などに化けることもあるのである。
金の無駄遣いであり、われわれの体の仕組みや栄養、科学的な働きに対して混乱をもたらす元となっているのである。

 

著者プロフィール

牧瀬洋一(牧瀬内科クリニック院長)●まきせ よういち氏。1984年鹿児島大卒後、同大第一内科入局。大隅鹿屋病院などを経て、95年牧瀬内科クリニック(鹿児島県大崎町)開業。98年に有床診化(19床)。

連載の紹介

牧瀬洋一の「内科開業医のお勉強日記」
内科開業医として、呼吸器を中心に地域の患者を幅広く診察している牧瀬氏。JAMA、Lancet、NEJM、BMJをはじめ、主要論文誌をインターネットで読むのが日課。興味を引かれた論文を、牧瀬氏が紹介します。

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